横浜市の5公園が試験的禁煙、実効性は… 周知看板設置も喫煙者の姿

禁煙の試行実施を知らせる看板のすぐそばにも吸い殻が落ちていた=10日、横浜市保土ケ谷区の天王町駅前公園

 受動喫煙対策強化に向けて、横浜市が公園の全面禁煙化を模索している。19日までの約1カ月間、市内5公園を試験的に禁煙としているが、対策の実効性を高めるには課題も多そうだ。

 11月中旬、対象公園の一つである天王町駅前公園(同市保土ケ谷区)を訪れると、ベンチの足元に吸い殻が2本。先月14日から禁煙を周知する看板を設置しているが、喫煙者の姿も見られた。加熱式たばこを吸っていた30代男性は看板が目に入らなかったといい「公園だけ禁煙にしても路上に流れる。周辺一帯を禁煙にしないと受動喫煙対策としてはあまり意味はないと思いますよ」と苦笑いした。

 改正健康増進法では原則として屋内を全面禁煙、学校や病院などは敷地内も禁煙としているが、屋外は「配慮を求める」にとどまっている。公園では、子どもたちへの配慮に欠ける喫煙や吸い殻のポイ捨てがあるのが実情だ。

 今夏に市が実施したアンケートでは、子育て世帯の8割以上が公園利用時に喫煙で迷惑と感じたことがあると回答。自由記述では「子どもが吸い殻を口に入れてしまいそうになったことが何度もある」といった切実な声とともに、「喫煙の場所や時間を区切ってほしい」「吸い殻のポイ捨てにも罰則を設けてほしい」などと対応を望む意見が寄せられた。

 他の自治体では条例で公園の全面禁煙に踏み切る例もあり、市も条例化を念頭に置く。その際に課題となるのが実効性の担保だ。市公園緑地管理課によると、違反時に過料(罰金)を科している自治体もあるが、実態としては取り締まりはしていないという。

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