暴力団が「示談を強要」と認定、慰謝料支払い命令 みかじめ料巡り京都地裁

京都地裁

 暴力団員から要求されたみかじめ料の支払いを巡って、京都市東山区の元キャバクラ店経営の20代男性が使用者責任を問い、上部の組長ら3人に損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、京都地裁であった。菊井一夫裁判長は、示談を強要し被害届を取り下げさせるなどした行為を違法と認定し、慰謝料110万円の支払いを命じた。

 地裁は、弁護士が作成した示談書であっても、背後に暴力団の「威力」があれば、その効力は否定されると判断した。一方、みかじめ料自体は任意で支払ったものとみなし、不法行為とは認定しなかった。

 判決によると、男性は2019年1月~20年5月、当時指定暴力団神戸山口組傘下の暴力団員の男に、みかじめ料計340万円を支払った。その後、京都府警に被害届を出したが、男は知人を通じて取り下げるよう要求。弁護士事務所に連れて行き、示談書を作った上、和解契約に応じさせるなどした。

 男性は、みかじめ料の支払いや示談を強要されたとして、使用者責任を問い、神戸山口組の組長ら3人を相手取って提訴していた。

 菊井裁判長は判決理由で、示談の強要について「暴力団員であり加害行為を実行しかねないことを前提にしており、意思決定の自由や財産権を侵害した」として違法性を認めた。その上で、金銭の返還を免れるために「指定暴力団員の地位を利用した」とみなし、使用者責任もあるとした。

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