<レスリング>【2023年全日本大学選手権・展望(大学対抗得点)】日体大が2年連続グランドスラムを目指す、山梨学院大が阻止できるか

▲闘いの場となる大阪・堺市金岡公園体育館

2023年の大学日本一を決める闘い、内閣総理大臣杯全日本大学選手権は11月18日(土)~19日(日)に大阪・堺市金岡公園体育館で行われる。昨年は日体大が5階級を制し、全員がメダルを獲得して81点をマーク。2位の山梨学院大に21点の大差をつけて優勝。東日本学生リーグ戦、全日本大学グレコローマン選手権に続いての優勝を達成。1994年の日体大以来、28年ぶりとなるすべての団体戦を制覇する“グランドスラム”を達成した。

昨年までの5年間の優勝得点は、2018年=55点/日体大、2019年=49点/山梨学院大、2020年=71点/日体大、2021年=87点/日体大、2022年=81点/日体大。80点を超えれば楽勝で優勝となろうが、今大会の山梨学院大の戦力を考えると、70点前半の攻防となりそう。学校対抗戦の見どころをさぐった。

※全10階級のうち、各大学8階級(非オリンピック階級は2階級まで)の出場=2022年からのルール。順位に応じた得点の合計で優勝を争う。
※得点は、優勝=12点、2位=9点、3位=6点、5位=3.5点、7位=2点、8位=1点。
※正選手が起用されることを前提とした予想。組み合わせ抽選は17日

《大学別エントリー選手》 《階級別・展望》 《大会要項》


5~6階級で優勝が見込める日体大

日体大は、57kg級で2年ぶりの優勝を目指す弓矢暖人、61kg級と74kg級で連覇を目指す田南部魁星高田煕、65kg級と86kg級で全日本学生選手権王者の清岡幸大郎髙橋夢大が出場予定で、5階級で優勝を目指す実力者がそろう。

5階級を制覇すれば60点(12点×5)となるが、57kg級に佐々木風雅(日大)、61kg級に小野正之助(山梨学院大)、65kg級に荻野海志(山梨学院大)、74kg級に山倉孝介(早大)の強豪がいるので、5階級優勝なるかどうかの状況。この5階級で最低50点は確保したいところ。

79kg級の神谷龍之介も1年生ながら優勝の可能性は十分。出場選手が少ないこともあり、優勝を逃しても2位か3位には入る可能性が大きい(12~6点)。

問題は重量級の2階級。組み合わせ次第では高得点が厳しい状況。この2階級が0点に近い得点では、団体優勝に黄信号が灯る。逆に2階級で12~15点いけば、トータルで75点は超え、優勝はぐっと近づく。

▲昨年、3年連続23度目の優勝をグランドスラムとともに達成した日体大

本来より上の階級に出場する2選手の奮闘が期待される山梨学院大

山梨学院大は、61kg級で全日本学生選手権と国体を制した小野正之助、65kg級と70kg級で昨年優勝の荻野海志青柳善の輔、125kg級で昨年2位のアビレイ・ソビィットの4選手に優勝の期待がかかる(12点×4=48点)。最低でも42点はいきたい。

70kg級以外の3階級は、優勝することで日体大選手の得点を下げることにもなるので(日体大は70kg級にエントリーなし)、ここで優勝を引き寄せたいところ。

74kg級に出場する全日本学生選手権3位の鈴木大樹、本来より1階級上に出場する86kg級の佐藤匡記と97kg級の五十嵐文彌は、優勝を逃すことはあっても、3位は外せまい(9点または6点×3=27~18点)。

57kg級は、正選手が負傷し1年生の勝目大翔が出場する。東日本学生リーグ戦でも代役出場を十分にこなし、全日本学生選手権や国体で全日本トップ選手相手に粘るだけの実力をつけているので、最低でも3位には食い込みたい(6点)。トータルで70点を超える可能性は十分にある戦力だ。

▲東日本学生リーグ戦、最後の試合に勝って五十嵐文彌は応援席に深々と一礼したが…。今大会は喜びいっぱいのフィナーレを迎えたい

日大は全階級でファイナル出場の再現なるか

昨年3位の日大は、57kg級と70kg級で昨年の全日本学生選手権優勝の佐々木風雅渡辺慶二、79kg級で東日本学生選手権(秋季)優勝の硎屋亮太郎、97kg級で昨年優勝の吉田アラシの4階級に優勝の可能性を強く持つ選手がいる。

昨年は全階級でファイナル(3位決定戦以上)進出とまんべんなく実力を発揮したが、優勝は吉田だけで、総得点は伸びなかった。今大会は複数階級を制して優勝争いに加わりたいところ。

早大、専大、拓大、中大、国士舘大、育英大、周南公立大、日本文理大、九州共立大、帝塚山大にも、十分に優勝を狙える実績を持った選手がいる。2~3チームによる優勝の独占を阻止し、“戦国時代”到来を予感させる意地が望まれよう。

▲日大をけん引できるか、吉田アラシ=全日本学生選手権、撮影・保高幸子

© 公益財団法人日本レスリング協会