冬物商戦ようやく本番 石川、富山の百貨店

厚手のアウターを品定めする来店客=金沢市の金沢エムザ

 師走並みの寒さとなり、石川、富山両県の百貨店でようやく冬物商戦が本格化した。厚手のコートやマフラー、防水・防寒用のブーツ、羽毛布団、鍋の材料などが先週末から動き出した。例年は気温が下がり始める10月後半から商戦本番となるが、今年は11月初旬に夏日を記録し、売れ行きが低調。各店は冬物の販売を強化して商戦の盛り上げを図る。

 「これだけ一気に気温が下がってくれれば、冬物が動き出す」。金沢市の香林坊大和の担当者は期待を込める。最高気温が12月上旬並みの11.1度となった13日、同店では、コートやブーツ、マフラーなどを品定めする女性客の姿が多く見られた。

 金沢は11月3日に最高気温27.7度の夏日を記録。百貨店では10月後半から冬物が売れ始めるが、香林坊大和では11月に入っても薄手のカーディガンなど秋物が売れ筋で、厚手のコートの動きは鈍かった。

 しかし、今月10日以降、一気に気温が下がると、男性用のセーターなどカシミヤの衣料を特集したコーナーなどが人気を集めた。17~23日に開催する「冬の感謝祭」で冬物の売り上げ増を狙う。

 食品では、ハクサイやネギ、シイタケといった鍋の材料が好調に推移し、例年より割安なコウバコガニも売れている。

 金沢市の金沢エムザでは、アウトドア用品店「好日山荘」でダウンジャケットや厚手のアウターの引き合いが目立ち、外国人観光客が寒さに耐えられず購入するケースもあるという。

 寒さが増したことに合わせて、防水ブーツや羽毛布団などの寝具も売れ始めた。

 金沢エムザは15~28日に「新作コート&ブーツフェア」を実施し、全館で冬物の販売に力を入れる。担当者は「コロナも明けて外出や集まる機会が増えており、出足が鈍かった商戦を盛り上げていきたい」と話した。

 富山市の富山大和でも気温が急に低くなった土日の11、12日に冬物を買い求める客が多く訪れた。コートや手袋などの引き合いがあるという。

 百貨店では、12月になるとクリスマス商戦に入り、高級ブランドやアクセサリー類へと売れ筋が変わる。さらに、秋物のカーディガンより、冬物のコートの方が単価が高く、売り上げ増につながるため、金沢の百貨店関係者は「冬物衣料は11月が勝負だ」と意気込む。

コートなど冬物が並んだ売り場=金沢市の香林坊大和

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