気温の差が引き起こす肩こり、頭痛……寒暖差不調を改善する1分「首上げタオル」

「ここ2〜3週間で朝、晩が急に冷え込むようになりましたが、日中は気温が上がっています。当院では、そんな寒暖差が原因と考えられる体調不良を訴える患者さんが、急に増えてきています」

こう語るのは“寒暖差疲労外来”を設けている、せたがや内科・神経内科クリニック(東京都)院長の久手堅司さんだ。

「寒暖差疲労というのは正式な病名ではありませんが、その名のとおり、主に春や秋など、寒暖差が激しい時季に起きる不調です。

例年、9月ぐらいから患者さんが受診されるのですが、今年は異常な暑さが長引いたため、症状が出るのが10月にずれこんだようです。

体調不良の原因となる寒暖差は、当院のデータでは7度以上。今は最低気温と最高気温の差が10度を超える日も多いため、注意が必要です」

気をつけたいのは、1日の寒暖差ばかりではないことだ。

1週間のうちに3日間暑い日があり、4日間寒い日があるなど、気温が日ごとに変わっていく場合、またエアコンをかけた部屋から寒い外への外出を繰り返す場合なども、不調は起こりうるという。

「患者さんの7割が女性。主症状として、患者さんの8割が訴えるのが倦怠感です。その次に四肢の冷えや肩こり、首こり、頭痛、めまい、イライラや不安などメンタルの不調、ぜん息などです」

■寒暖差による自律神経の過度な負担が原因となって

こうした症状が引き起こされるのは、寒暖差によって自律神経が乱れてしまうためだという。

「人間の体は体温調節するため、暑いときは熱中症を防ぐために血流を増加させ熱放散を促したり、発汗して体温を下げようとします。逆に寒いときは、血管を収縮させて熱放散を抑制したりします。こうした体温調節は、自律神経の切り替えによって行われます」

自律神経には、血圧や脈拍を上げたり発汗を促す交感神経と、その逆の作用をする副交感神経があるという。

「交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキというイメージ。気温が一定であれば、交感神経と副交感神経が切り替わる回数が少ないのですが、寒暖差があって体温調節が必要になると、切り替えが頻繁にならざるをえません。

アクセルとブレーキを繰り返すと車の燃費が悪くなるように、自律神経に過度な負担がかかって、不調の原因となるのです」

いったいどんな人がリスクが高いのだろうか。

「周りの人は暑がっているのに、自分だけ寒くて長袖が常に手放せない人、代謝が悪い、体がむくみやすい人などです。不調かもと感じる人は、チェックシートを目安にしてみてください」

■ワンセット1分で血流がよくなり首回りポカポカ

ただし、寒暖差疲労外来を設けている医療機関はほとんどない。

「内科や婦人科系、漢方の先生に診てもらうといいでしょう。しかし、医療機関や薬に頼らず、毎日のタオルを使った方法で症状を軽くしたり、予防したりすることも可能なんです」

久手堅さんが提唱するのが、フェースタオル1本あればできる「首上げタオル」体操だ。

「自律神経の通り道であり、重さが5〜6kgもある頭部を支えるために負担が大きい首をリラックスさせる体操です。

まず、タオルを首にかけて、両端を持って、耳の下に当てながら、斜め上に30秒ほど、軽く引っ張ります。

今度はタオルを斜め下に30秒ほど、軽く引っ張る。タオルと引っ張り合うように首に力を入れましょう。それほど力を入れる必要はありません。

ワンセット1分、タオル体操するだけで、血流がよくなり首回りポカポカするし、気持ちよくなったり、痛みが軽くなります」

まずは朝・昼・夜の食後など、1日3回ほどキリのいいときに実践してみるといいという。

「デスクワークが多い人は1時間に11、ワンセットやるのも効果的です。

不調は慢性化してしまうと症状が取れにくくなるので、こじれる前に、適度にメンテナンスすることが重要です」

まだまだ寒暖差のある日が続く中、タオルで自律神経を整え、寒暖差不調の予防&改善を心がけよう!

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