仙骨を温めて血流促進…「お尻シャワー」で冷えを改善

仙骨の位置にシャワーを当てることによって、自律神経を適度に刺激して整える

ここ数日の急な気温の変化に伴い、体の“冷え”を感じるようになってきた人も多いだろう。

「女性は、妊娠や出産、閉経などによってホルモンバランスが乱れやすい、筋肉量が少ないなどの体の特徴から、男性に比べて冷えを訴える人が多い傾向があります。不定愁訴といわれるさまざまな不調は、この時季の冷えが原因と言っても過言ではありません」

こう話すのは、自治医科大学附属病院麻酔科鍼灸外来の鍼灸師・中野朋儀さんだ。骨盤周辺には自律神経が張り巡らされていて、それが子宮、膀胱、腸などの内臓にもつながっている。さらに、大きな血管が骨盤の後ろにある「仙骨」の横を通っている。

仙骨とは、お尻の上のほうの皮膚直下にある逆三角形の形をした骨だ。この仙骨周辺を温めることが、体を冷えから守るカギになると中野さんは言う。

「仙骨周辺は組織が密集していると同時に筋肉や脂肪がつきにくくなっているため、体外からの熱が骨に伝わりやすいのです。自律神経や大きな血管を温めることで、副交感神経が優位になり、血管が拡張して血流が促進されます。すると体がポカポカして、体調が整いやすくなります」(中野さん、以下同)

やっかいな冷えを改善できるとあれば、ぜひ仙骨を温めるようにしたいところ。手っ取り早いのはやはり入浴なのだろうかーー。

「血管を拡張させるには深部体温を42度くらいまで上げる必要がありますが、入浴だけで上げるには38度くらいのぬるめのお湯に30分ほどつからなくてはなりません」

とはいえ、ますます気温が下がる時季、ぬるめのお湯に長くつかっていては、かえって体を冷やしてしまうだろう。

そこで中野さんがおすすめするのが、40度前後の温かいお湯につかった後に仙骨の位置にシャワーを当てること。それによって、自律神経を適度に刺激して整えるというものだ。

「入浴でほどよく体を温めた後、少し熱めのお湯(41~42度)を強めの水圧でお尻に30秒~1分当てるだけです。熱めのお湯と強めの水圧で、マッサージのような効果が期待できます。

これを習慣化することで、冷えの改善のほか、肩こり、腰痛、坐骨神経痛などの痛みが和らぐ効果も得られます。全身の血流が促され、睡眠の質を高めることにもつながります」

大切なのは継続すること。慢性的な冷えの対策として、ぜひシャワーで仙骨を温めることを習慣にしてみよう。

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