フリーレン「アウラ、お前の前にいるのは…」真の魔力を解き放ち、大魔族に引導を渡すシーンが “鳥肌モノ”と話題

アニメ『葬送のフリーレン』第10話のタイトルは『強い魔法使い』。フリーレンの師・大魔法使いフランメとの出会いの物語が描かれるほか、500年以上生きた大魔族アウラとの戦いがついに決着。窮地に追い込まれたフリーレンが“真の力”を解放するシーンでは、「鳥肌が立った」と称する視聴者の声が多数上がった。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆500年以上生きた大魔族

不死の軍勢を従える大魔族アウラとの戦いにひとり、身を投じていたフリーレン。アウラの操る“服従の魔法”によって死後も動き続ける“首なし騎士”たちの攻撃は、徐々に彼女を追い詰めていた。フリーレンの戦略はただ一つ。騎士たちを支配しているアウラの魔法を、こちらの魔法で解除すること。幾度も杖(つえ)に魔力を込めては、柔らかな光で騎士たちの体を包んでいた。

防戦一方のフリーレンにアウラは笑みを浮かべると、「あなたはこの戦いで、たくさんの不死の軍勢を私の支配下から解放したわね。この私の前で、そんなに多くの魔力を消費して大丈夫なのかしら」と、その手中にある“服従の天秤(てんびん)”を揺らしてみせる。

互いの魂を乗せ、魔力の大きい方が相手を意のままに操ることができるその“魔道具”は、絶大な魔力を持つ者が使用してこそ真の効果を発揮する。魔力は基本的に、鍛錬を積み重ねた年月に比例して増加していく。アウラが全身にまとわせている魔力のオーラは、彼女が500年以上生きてきた大魔族であること、そしてその生涯のほとんどを鍛錬に費やしたことを示していた。

フリーレンの魔力を消耗させた今、勝利するのは自分…。確信を持ってアウラは“服従の天秤”を構える。しかし窮地のはずのフリーレンは全く焦る素振りを見せない。それどころか余裕のアウラを「哀れだ」と吐き捨てた。その意味は、アウラには分からない。フリーレンの真意は、はるか昔の“思い出”に隠されていた。

大魔法使いフランメ アウラたちが解除をもくろむ“防護結界”も彼女の偉業の一つだ

◆“卑怯者”の教え

1000年以上昔のこと、長寿の種族・エルフの集落が魔族に襲われた。いたるところに戦いの傷痕が見られる。崩れた住居でくすぶる炎。積み重なる亡きがら。そして何者かに倒された魔王軍の将軍と、向かい合うように膝をつくエルフの少女。死にかけていた彼女の目の前に、琥珀(こはく)色の髪を持つ人間の女性が現れる。いつの日か“歴史上の英雄”と称される大魔法使いフランメ、その人だった。

エルフの少女・フリーレンの才能に目をつけたフランメは、彼女を弟子に迎えた。「対外に放出する魔力を10分の1以下に抑えてみろ」。フランメの修行はごく単純だった。フリーレンは「このくらい、エルフなら誰でもできる」と難なくやってのけるが、さすがに長時間続けていると疲れてしまう様子。「どれくらい続ければいいの?」と尋ねる弟子に、師匠は笑って返した。「一生だ。お前は一生をかけて魔族を欺くんだ」。

フランメいわく、魔族にとっての魔力は人にとっての地位や財産に等しい。力の強い魔族ほど必死に魔力を誇示する、いわば尊厳そのものなのだ。「常に魔力を制限する」などという発想は彼らにはない。魔法を誇りに思う魔族からすれば、フランメが教える戦い方は卑怯(ひきょう)極まりないもの。しかし、だからこそ欺けると言う。

ある時、フランメはフリーレンにこう言った。「奴らは言葉を話すだけの魔物にすぎない。奴らは卑怯だ。ならば私たちはそれ以上の卑怯者になればいい。それで魔族を根絶やしにできるのなら、私は喜んでその汚名を着よう」

居場所を与え、食事を与え、知識を与え、そして魔法を教えた

◆1000年以上生きる魔法使い

人が地位や財産に縛られるように、魔族は魔力に縛られている。自らの絶大な魔力を誇示し得意になっているアウラを見て、フリーレンは「哀れだ」とつぶやいたのだ。

そんなこととはつゆ知らず、アウラは“服従の天秤”を掲げて「アゼリューゼ」と唱える。2人の魂が夜空に浮かび上がると、やがてゆっくりと天秤の皿へと落ちていった。アウラは口元のゆるみを抑えられなかった。目に映るフリーレンの魔力は、自らのそれに遠く及ばない。「私の勝ちよ」。高らかに宣言したアウラは、“首なし騎士”から剣を預かるとフリーレン目がけてゆっくりと歩き出した。“断頭台のアウラ”という、その異名を携えて。…ふと、フリーレンが言った。「私の魂を天秤に乗せたな」。同時に、アウラの持つ天秤がカタカタと音を立て始める。アウラは目を疑った。天秤がフリーレンの方に傾いていく…。

状況を飲み込めないアウラに、フリーレンが現実を突きつける。「もう気がついてるはずだ。私は魔力を制限していた。お前は見誤ったんだ」。そんなはずはないと返すアウラに、フリーレンはさらに続ける。「私は生きてきた時間のほとんどを、魔力を制限して過ごした。この状態が自然になるほど」。すっかり笑顔を忘れたアウラは剣を振り上げて叫ぶ。「ふざけるな。私は500年以上生きた大魔族だ」。フリーレンは静かに、そして毅然(きぜん)たる態度で返した。「アウラ、お前の前にいるのは、1000年以上生きた魔法使いだ」

アウラからしてみれば、巨大な竜巻を間近で見ているようなものだった。解放されたフリーレンの真の魔力は白く輝く光の柱となり、炎のように立ち上る。500年以上アウラにしか傾かなかった天秤は、地につくほどの勢いでフリーレンに傾いていた。絶望の色を浮かべていたアウラの顔から生気がなくなった頃、フリーレンはささやくように命じる。「自害しろ」。敵の首を切るために握っていたその剣を、アウラは自らの首に沿わせる。かくして“断頭台のアウラ”の最期は、その異名を自らでなぞる形となった。

魔族は魔力を隠さない 驕り(おごり)が招いた敗北だった

◆見事な決着シーンを演出した“両者”へ、称賛の声

魔力で魔族を欺き、フリーレンがアウラに勝利した今回の放送に視聴者からは「最高に熱い」「感服いたしました」など、フランメの教えを守り抜いてきたからこその勝利を称える声が多数。また、フリーレンが魔力を解放し”1000年以上生きた魔法使い”としての実力を見せつけたシーンでは、「魔力が溢れ出す瞬間に鳥肌」「(魔力を)ドバーって出すシーンで思わず声が出ちゃいました。製作陣の皆様!ありがとう笑笑!!!」と、アニメーションの美麗(びれい)さに感動したという声も多く上がっていた。

一方で、8話から登場したもののわずか3話での退場となったアウラにも、ひそかに思いを寄せるファンが多かった。フリーレンに倒されてしまうシーンでは「一周回って可哀想」「悲壮感が半端なかった」「悲しすぎるぜ」と、敵ながら感情を揺さぶられた視聴者の声が多く飛んでいた。

そして次週、アウラとの戦いを終えたフリーレンたちの新しい旅が始まる。

『葬送のフリーレン』第11話「北側諸国の冬」
11月17日(金)よる11時「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国30局ネット)にて放送予定。

画像提供:©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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