近畿大学、新型コロナ感染経路別のリスク試算モデルを構築

近畿大学医学部の水越厚史講師らの研究グループは、新型コロナウイルスのクラスターがオフィスで発生した実例に基づき、感染経路別のリスクを試算するシミュレーションモデルを構築した。

近畿大学によると、研究グループは感染経路別のリスクを予測するシミュレーションモデルを構築し、長距離エアロゾル感染と接触感染のリスクを算出した。広いオフィスで全員がマスクを着用しながら、クラスターが発生した事例を解析したところ、会話をする距離より長く1~2メートル以上もエアロゾルが移動することで感染する長距離エアロゾルが主な経路である可能性が高いことが明らかになった。

オフィス内全員のマスク着用や換気量の増加が感染リスクの低減に効果があることも分かったが、それだけで長距離エアロゾル感染を防ぎきれないことも示唆された。

研究グループは感染拡大期の長距離エアロゾル感染を防ぐためには、マスクの着用や換気に加え、感染者と接触した場合や自分が感染した可能性がある場合の外出自粛、家族との接触回避など包括的対策が必要になるとしている。

新型コロナウイルス感染症は飛沫や接触、エアロゾルを通じて人から人へと二次感染すると考えられている。オフィスでのクラスターではオフィス内全体に感染者が広がっていることから、長距離エアロゾル感染の可能性が指摘されていた。

論文情報:

【Risk Analysis】A COVID-19 cluster analysis in an office: Assessing the long-range aerosol and fomite transmissions with infection control measures

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