初の「女性神輿」威勢よく 神戸・長田神社の秋祭り 裏方から表舞台へ、100人が商店街練り歩き

長田神社から出発する女性神輿(吉岡さん提供)

 長く続く長田神社(神戸市長田区長田町3)の秋祭りで、初の「女性神輿(みこし)」が今年登場した。地域を挙げての伝統行事ながら、担ぎ手は男性や子どもたちで、女性は裏方に徹することが多かった。「私たちも地元を盛り上げたい」という女性たちの思いがかない、威勢のよいかけ声に沿道から温かな拍手が送られた。(名倉あかり)

 同神社などによると、1995年の阪神・淡路大震災発生までは毎年神輿が出ていたが、被害の影響で中断。以降は地元住民の入れ替わりや新型コロナウイルス禍もあり、神輿が出たのはわずか5回で、継続困難な状況が続いていた。

 長田で生まれ育ち「祭り好き」という飲食店店主の西村舞さん(42)は、女性神輿の実現を願っていた一人。祭りで男性や子どもが活躍する姿を見ながら「時代が変わってるんやから、女性も目立っていいのでは」と寂しく感じていた。

 新型コロナの流行を経て4年ぶりの神輿巡行となった今年。「今までにない形でみんなのモチベーションを上げたい」と奮起した同神社氏子会・長田部の吉岡利明さん(54)は、以前から要望を聞いていた女性神輿を提案し、神社氏子会の承認を得た。

 人手を確保できるか不安もあったというが、祭り当日の10月21日は子どもから大人まで約100人が集結。女性たちは「千歳楽じゃ!千歳楽じゃ!」と声を上げながら肩の高さまで神輿を持ち上げるなどし、周辺の商店街を練り歩いた。

 これまでは休憩時間のお茶出しや、お守り人形を作るなど表舞台には出ていなかったという女性たち。今年は主役になり、男性たちは神輿のサポート役に徹した。

 娘3人と参加した西村さんは「いろんな人が拍手してくれて、性別に関わらずみんなが楽しめた。来年以降も続けていけたら」と笑顔で手応えを語った。

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