漆器に繊細な縄文の技 茨城・つくばの貝塚紹介 城里で特別展 

出土した漆器などが展示されている会場=城里町北方

縄文時代の漆製品が多数出土した上境旭台貝塚(茨城県つくば市)に焦点を当てる特別展「よみがえる縄文の技と色」が、同県城里町北方の県埋蔵文化センター「いせきぴあ茨城」で開かれている。繊細な模様の施された漆器や道具類を展示し、縄文人の技術の高さや暮らしぶりを紹介している。

同貝塚は、つくば市の東部、桜川右岸に位置する。県教育財団が2007~18年度に発掘調査を行い、台地上から縄文時代後期(約4000年前)の竪穴式住居や土坑を確認した。

集落が広がる低地部の地中から、赤や黒の漆が塗られた土器や石器、木器などが出土した。地下水の影響で有機質の遺物が腐食せず、良好な状態で残っているのは珍しいという。

展示品は約170点。鮮やかな発色の漆器の鉢は、サクラの木の仲間を素材に、赤い漆を3~4層塗り重ねて作られている。出土したのは一部だが、手彫りの格子文が確認できる。県文化課埋蔵文化財担当の加藤千里さんは「装飾性が高く、特別な場面で使われたのではないか」と解説した。

会場にはこのほか、漆の制作工程で使われた道具や木製の未完成品、土偶、石棒、装身具類など、縄文人の暮らしぶりを連想できる品々が並んでいる。

30日まで。午前9時から午後5時。土曜と祝祭日は休館。

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