和牛でも産地偽装 諫早市のふるさと納税返礼品 九州農政局が業者に是正指示 長崎県

 長崎県諫早市のふるさと納税返礼品だった「和牛切り落とし」に本県産以外の国産和牛が使われていたことが14日、分かった。九州農政局は同日、産地を偽装して返礼品提供事業者に販売したなどとして、福岡県久留米市の食肉卸・加工会社「タツミ商事」に対し、食品表示法に基づき、表示是正や再発防止策の実施などの措置を講じるよう指示した。
 同局によると、同社は本県産ではない国産和牛を原料に使用していたにもかかわらず、容器包装に事実と異なる表示をするなどし、少なくとも2022年4月1日から同年12月31日までの間に約15.6トンを返礼品提供事業者に納品していたことが立ち入り検査などで判明。これらは諫早市の返礼品向けだった。
 同様に同社は少なくとも同期間、佐賀県産ではない国産和牛を偽装表示するなどし、同県上峰町の返礼品用として同じ業者に約20.8トンを納品。「受注に必要な仕入れが不足した。業者から受注を切られるのが怖かった」と説明しているという。
 諫早市によると、21年度から返礼品に加えていた「長崎和牛切り落とし1600グラム」は、22年度は4月~12月に約3万8千件の申し込みがあった。寄付者への発送遅延が生じ、現在は返礼品になっていない。
 同市の返礼品を巡っては、佐賀市の青果仲卸業者が22年度と23年度、県外産のシャインマスカットを本県産と偽装し、納品していたことなどが判明。仲介サイトの「楽天ふるさと納税」が諫早市への寄付受け付けを一律に一時停止にするなど波紋が広がっている。

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