宝くじ売り場で働く上野樹里に、週刊誌記者・林遣都が強引な誘い 「隣人X -疑惑の彼女-」本編映像

2023年12月1日より劇場公開される、第14回小説現代長編新人賞を受賞したパリュスあや子による小説「隣人X」の映画化作「隣人X -疑惑の彼女-」から、惑星難民Xについてのスクープのため、Xの疑いがある柏木良子(上野樹里)に近づこうと、週刊誌記者の笹憲太郎(林遣都)ががむしゃらに良子との接触を図る出会いのシーンが公開された。

映像は、勤める宝くじ売り場で良子が、「もう一回見てくれよ!!」とハズレクジを持ち込んできた客から、言いがかりをつけられているシーンから始まる。そこに、良子に近づくタイミングを見計らっていた笹がおびえていた良子を見かねて助けに入る。良子は「ありがとうございました、助かりました」と笹にお礼を言うのみで、会話が続かない。あせった笹は「何か食べたいものはないですか?ご馳走します」と食事に誘うも、良子は名前も何者かも分からない男性からの急な誘いに戸惑い、断る。引き下がれない笹は「スクラッチ買うので、当たったら食事してください」と、強引に誘う。

「隣人X -疑惑の彼女-」は、故郷を追われた惑星難民Xの受け入れを発表した日本を舞台とした異色のミステリーロマンス。人間の姿をそっくりコピーして日常にまぎれ込む惑星難民Xに、人々は不安や恐怖を抱いている。そんな中、週刊誌記者の笹は、スクープのために正体を隠してX疑惑のある良子へ近づく。やがて笹の中に本当の恋心が芽生えるが、良子がXかもしれないという疑いを払拭できない。主人公の柏木良子を演じるのは上野樹里。良子を追う記者の笹憲太郎役を林遣都が務める。監督は熊澤尚人。

一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

■朝井まかて(小説家)
Xは、問いかけてくる。誰が誰を傷つけているのか、何を信じて生きるのか、そして、〈存在〉への愛というものを。−−余韻の深い映画です。

■中島京子(小説家)
奇妙な設定だけど、扱われるのはとても普遍的なテーマ。「知らない」怖さを乗り越えた先にある、お互いを「知る」「わかる」ことの大切さとあたたかさを受け取りました。

■ブレイディみかこ(ライター・コラムニスト)
私たちはみな、見知らぬ他者にとってはよそから来た人に見える。だけど心の目で見るとき、よそ者は隣人に変わる。

■キニマンス塚本ニキ(翻訳者・ラジオパーソナリティ)
この映画は混沌とした社会を生きる私たちのリトマス紙だ。誰を疑うか、誰を信じるか。
あるいは、その選択肢自体が罠かもしれない。

■川和田恵真監督(映画監督)
偏見と差別の海のなか、外国人留学生と日本の若者がそれぞれの音楽を聴かせ合う時間が光だった。
よそ者が怖いと言う自分も、誰かにとっては危険なよそ者かも知れないことに思い巡らせてほしい。

■辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)
Xは私たちが隠している本性やドロドロしたものを浮き上がらせ、解放するためにやって来たのかもしれません……。
炎上や策略、捏造、裏切りなどの毒出しのあと、最後に残るのはたぶん隣人愛です。

■今 祥枝(ライター・編集者)
自分たちと同じ姿をした惑星難民Xの存在に怯える人々。
救いを求める他者を“異物”とみなす排他的な空気は、現代の日本社会にも蔓延している。
だが、良子と笹の物語はマジョリティとして自らが“他者”となり得る可能性を想像することの難しさを突きつける。
私は彼らを、笹を非難できるのだろうか。『隣人X』には、今の時代に必要なメッセージが詰まっている。

■青山美智子(小説家)
この作品がSFではなく実話だとしても、私は驚かない。描かれている憤りも希望も、目の前の社会であり日常そのものだと思った。
そして自分はいったい誰なのかと考えた。人を愛する時、それが何ひとつ意味をなさないことも。

■泊貴洋(ライター)
『隣人X』は、未知のウィルスによってパニックに陥った、現実世界の映し鏡のよう。そこにリアリティーを与えているのが、『恋する寄生虫』や「VIVANT」などのフィクションに真実味を持たせてきた林遣都の迫真の演技。そして、上野樹里の“どちらにも見える”自然体の演技に目が離せなくなる。『ユリゴコロ』で才気を見せた熊澤尚人監督の演出も冴え、想像を遥かに超える見応え。

【作品情報】
隣人X -疑惑の彼女-
2023年12月1日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社

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