返済開始、4割止まり コロナ特例貸付 茨城県内世帯 社協、相談や支援強化 

県社会福祉協議会(資料写真)

新型コロナウイルスの感染拡大で収入が減少した世帯向けの特例貸付で、今年1月に返済時期を迎えた茨城県内世帯のうち、実際に返済を開始した世帯は現時点で4割にとどまっていることが14日、県社会福祉協議会への取材で分かった。6割は経済的困窮で滞っているか、返済が免除された世帯。県社協は生活再建へ向け、市町村社協と連携し、個別相談や支援を強化している。

特例貸付はコロナ感染拡大に伴い、収入が減った世帯に無利子で生活資金を貸し付ける国の制度。1回20万円の「緊急小口資金」と、月20万円を最大で9カ月貸し付ける「総合支援資金」の2種類があり、2020年3月から22年9月末までの2年半にわたり実施した。

県社協によると、県内の利用総数は小口が約3万件(貸付金額58億7千万円)、総合が約4万2千件(同217億2千万円)。今年1月、20~21年度の貸し付け分から段階的に返済が開始。返済が始まった世帯は小口と総合を合わせて約5万3千件で、このうち実際に返済を始めたのは39%に当たる約2万1千件にとどまった。

残る約3万2千件のうち、住民税非課税により返済が免除となった世帯は31%の約1万6千件、返済期間が始まっても返済できなかったり、返済猶予を申し出た世帯は28%の約1万5千件。免除や未返済となっている世帯の割合は60%を占めた。

新型コロナは5月に感染症法上の5類に移行し、日常の生活や経済活動は徐々に戻りつつある。一方で失業や体調悪化などで返済できない世帯も少なくないという。県社協は「コロナ禍前の生活水準に戻れず、困窮が続いている世帯が一定割合で存在する」として、県内の各市町村社協と連携し、生活再建に向けた対応を進めている。

本年度、支援の一環として、特例貸付を受けた世帯向けの個別相談を始めた。月ごとに支払う返済金額の見直しや一定期間の猶予設定など、各世帯の生活や経済状況に応じた返済計画の変更を支えている。

市町村社協では、相談対応の職員増強や週末の窓口開設の拡充を進めている。県社協は「まずは相談してもらい、生活をどう立て直していくか、一緒に考えたい」と相談を呼びかける。

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