会津の歴史ロマン

会津には歴史好き垂涎の史跡が数多くある。飯盛山は会津若松市の市街を望む山で、戊辰戦争時に白虎隊が自刃した地だ。この山には会津さざえ堂もある。不思議な二重構造のらせん階段で、上りと下りですれ違うことがない世界でも珍しい建築だ。

▼豊臣秀吉によって同地に転封された蒲生氏郷の墓もある。今日の会津若松の基礎を築いた領主だ。新選組三番隊長斎藤一の墓もある。新選組きっての剣の使い手で、会津藩とともに最後まで抗戦した。東京で死んだ後、会津若松市の寺に葬られた。

▼寡聞にして知らなかったが、会津は古代遺跡も多い。その一つ、会津若松市の矢玉遺跡から出土した木簡が、種もみの種子札であることが判明した。出土木簡と江戸期文献に記載された古代イネ品種「しろわせ」を復刻する取り組みがある。

▼今年、福島大学附属農場水田で「しろわせ」の田植えが行われ、先頃稲刈りを終えた。この古代イネ品種を使って、会津若松市のメーカーがみそや麹甘酒を試験的に少量仕込む構想もある。近い将来、歴史ロマンを舌でも楽しめるかもしれない。

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