「丹波漆」の魅力に触れる 京都・福知山で漆液採取や植樹を体験

ウルシの枝を回転させながら漆液を採取する参加者(福知山市夜久野町平野・やくの木と漆の館)

 京都府福知山市夜久野町の伝統産業「丹波漆」を学ぶ「うえるかむまつり」が11月12日、同町平野の「やくの木と漆の館」一帯で開かれ、参加者はウルシの枝から漆液を採取する「瀬しめかき」や植樹を通じて漆の魅力に触れた。

 ウルシの保全活動に取り組むNPO法人「丹波漆」が主催し、漆芸家や市民ら約60人が参加した。

 午前の部では岡山県新見市の漆かき職人、小野忠司さん(74)が作業の手本を見せながら「瀬しめかきで採れる漆は強固にくっつくが、乾きづらいため需要面で課題がある」と解説。参加者は枝を回転させて包丁やかんなで傷を付け、染み出した乳白色の液を慎重にすくい取った。

 午後の部は、2人一組でウルシの苗木を近くの農地に植えた。「すくすく丸」「すこやか太郎」などと名付けて成長を願った。

 漆工芸を学ぶ京都伝統工芸大学校の2年生(25)は「細い枝でも大量の漆液が出て驚いた。有効な活用法を一緒に考えたい」と話していた。

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