EV販売台数世界一のBYD 中国・深センの本社にカメラが潜入 街中のいたる所に充電スタンドが

テレビ愛知

経済成長が著しい巨大国家・中国。自動車メーカーの大手「BYD」は、上半期のEV販売台数はテスラを抑えて世界一となりました。今回は特別に許可を得て、BYDの本社に潜入。中国国内でのEV普及の裏側を取材しました。

広東省には「BYDロード」

深セン市にある「BYDロード」

訪れたのは中国大陸の南に位置する広東省です。高層ビルが立ち並ぶ街中をたくさんの「BYD」が駆け抜けます。広東省の深セン市では「BYDロード」と呼ばれる道もあるほど、BYDが普及しています。

BYD本社に潜入

先を進むと見えてきたのが「BYD」本社。敷地面積は東京ドーム約50個分です。工場のほか、社員住宅も建てられています。

「BYD」が世界を席巻するEVに

最新の内装設備

本社内に入ると、ショールームに案内されました。自社開発のスポーツカーに、最新の内装設備。もちろん、EVに関する独自の技術もあります。この施設には世界中から関係者が視察に訪れるといいます。

色の違うナンバープレート

街中で走行する車を見ると、ナンバープレートの色が違います。青のナンバープレートが付いているものが「ガソリン車」。一方、緑のナンバープレートはEVやハイブリッド車などの「新エネルギー車」です。

約4台に1台が「新エネルギー車」

EVとガソリン車を区別

新エネルギー車とは、中国政府が普及を促進しているEVやPHEVなどのこと。ガソリン車とナンバープレートの色が分けられています。交通量の多い、平日の朝、幹線道路を定点撮影して数えてみると、10分間で通った車は510台です。そのうち138台がEVを中心とした新エネルギー車でした。約4台に1台の計算です。

2022年の1年間に中国国内で新車として販売されたEVの数は約536万台。新車市場に占める比率は20%です。一方、日本での新車市場に占めるEVの比率は1.4%です。

充電スタンド

中国でEVが普及している理由の1つが充電スタンドです。ロードサイドはもちろん、ホテルの地下駐車場、飲食店にも大量の充電スタンドが設置。街中の至るところに充電スタンドを発見しました。

EVの利用客

EVの購入を決めた1人の男性に話を聞きました。

EVの利用者:
「政府の支援や補助があって、維持費も安いです。環境にも優しいのでEVを選んだ」

中国政府は、EV購入時の補助金支援や税金の優遇といった措置を推し進めてきました。日本でも同じような補助金制度はあるものの、なぜ普及率で差がついたのか。自動車ジャーナリストの桃田健史さんに話を聞きました。

自動車ジャーナリスト 桃田健史さん

自動車ジャーナリスト 桃田健史さん:
「(中国は)国家戦略なので、かなり強力に(EVの)普及を政府が推し進めて、場所によってはナンバープレートを取得するのに枚数制限がある。新エネルギー車の場合は、(制限から)除外される。それが後押しになったと思う」

中国では都市によって、渋滞や大気汚染などを防ぐ狙いで、車を購入する際のナンバープレート取得を制限しています。新エネルギー車はその制限の対象外となり、普及が進んだのです。

市場を見ながら量産効果を上げて市場を取りに行く

BYDが日本国内に次々と店舗をオープン

BYDが日本国内に次々と店舗をオープンしていることについて桃田さんは、「ある意味(BYDに)先行者利益は多少はある」と話す一方、今は「見極めの時期」とも指摘します。

桃田さん:
「これで日本が負けてしまうというような単純な図式ではない。賢く市場を見ながら量産効果を上げて、市場を取りに行くことが日本の自動車産業のタイプ。今はちょうどタイミングを見極めている時期だと思う」

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