平和への願い 白備前の竜に込め 木村玉舟さん窯出し、12月展示

白備前の竜と制作した木村さん

 江戸時代に焼かれた白い備前焼「白備前」の制作に取り組む備前焼作家、木村玉舟さん(70)=備前市=が15日、来年の干支(えと)・辰(たつ)にちなんだ置物約30個を窯出しした。乳白色の竜が人々や古里に幸運をもたらすかのように躍動する。

 狩野派絵師・狩野探幽の雲竜図に触発されて作った雲上の竜や、浮世絵師・葛飾北斎の作品をイメージして富士山を乗り越えようとする竜など約10種類。眼や角、ひげを勇ましく細工した。竜、麒麟(きりん)をデザインした急須も新たに手がけた。

 市内3カ所の土を配合して鉄分を減らし、乳白色とほのかな赤を生み出す。1月から作り始め、10月に登り窯で10日間焼き締めた。木村さんは「雨でまきが水分を含んだことでしっとりした焼き味。竜の力で来年こそ平和な世界になるよう願いを込めた」と話した。

 12月6~12日、天満屋岡山店(岡山市)で開く古希記念の陶彫展で披露する。

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