NO WAR!「プルートゥ」が受け継ぐ批判精神 手塚治虫さんと浦沢直樹さんの直筆原稿展示 宝塚

迫力満点のリメーク版のプルートゥ(手前)。奥には原作のプルートゥの姿も=宝塚市立手塚治虫記念館

 漫画家手塚治虫さん(1928~89年)の代表作「鉄腕アトム」に登場する敵役ロボット「プルートゥ」を紹介する企画展が、兵庫県宝塚市武庫川町の市立手塚治虫記念館で開かれている。「20世紀少年」などで知られる浦沢直樹さんによるリメーク版「PLUTO(プルートゥ)」と両作品の直筆原稿を並べて展示し、同記念館は「幼少の頃の浦沢さんのように、手塚さんが作品に込めたメッセージのバトンを受け取ってほしい」としている。(西尾和高)

 プルートゥは鉄腕アトムの「地上最大のロボットの巻」で描かれ、漫画誌「少年」で64年6月号(付録)~65年1月号に連載。国を追われた中東の王の命令で造られ、最強を証明するため世界中のロボットに戦いを挑み、アトムと決戦に臨むという物語。作品には手塚さんの戦争への批判精神が込められているという。

 浦沢さんのリメーク版は雑誌「ビッグコミックオリジナル」(2003~09年)で連載。全8巻の単行本は18カ国・地域で翻訳出版された。浦沢さんは「原作を読み、戦いというもの自体、無意味だと感じた」と述懐している。

 企画展は、「PLUTO」が初めてアニメ化され、10月からネットフリックスで配信が始まったのを記念し、同記念館などが「アニメ化記念 PLUTO展-アトムとプルートゥからのバトン」と銘打って主催した。

 会場では、フォトスポットの壁(高さ約2.5メートル)に原作とリメーク版のプルートゥが迫力たっぷりに描かれている。手塚さんの原作と浦沢さんのリメーク版の直筆原稿が対比展示され、プルートゥのほか、アトムやロボット刑事・ゲジヒトなどの描かれ方の違いが楽しめる。浦沢さんのアイデアスケッチや、アニメ版の資料などもあり、約150点が並ぶ。

 来年2月18日まで。午前9時半~午後5時。月曜休館。入館料は小学生100円、中高生300円、大人700円。同記念館TEL0797.81.2970

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