穴子釣るえべっさん! 大漁旗3枚、絵柄鮮やかに新調 歳末商戦へ、明石唯一の職人が手作業で染色

手作業で大漁旗を染める黒川富男さん=明石市日富美町

 明石の年の瀬を彩る魚の棚商店街(兵庫県明石市本町1)の大漁旗。歳末の大売り出しを前に、市内で唯一の職人、黒川染工場(明石市日富美町)の黒川富男さん(59)が新たに3枚の大漁旗を制作した。「商売繁盛」の文字や七福神の「えべっさん」など縁起の良い絵柄が鮮やかだ。(谷川直生)

 穴子屋「林喜商店」とすし店「神和」、生花店「花雅」が、魚の棚西商店街振興組合を通じて依頼。各店の要望を基に黒川さんがデザインし、縦1.4メートル、横2.1メートルの大漁旗に仕上げた。

 複雑な絵柄も多い大漁旗だが、染色は全て手作業で行う。染めずに白地で残す部分には専用の筒を使ってのりを置き、文字や絵は大小さまざまなはけを使いこなして丁寧に色を付けていく。

 染料にもこだわり、深みを出すために複数の色を混ぜて要望に近い色を出す。色によって特長が異なるため、単色で染めるより太陽光や潮風などへの耐性も増すという。

 林喜商店の旗には、えべっさんが左脇で穴子を抱え、さらに右手に握ったさおで穴子を釣り上げる様子を描いた。炭焼き穴子が看板商品の同店らしく、「一焼入魂」の力強い文字も入っている。

 神和は幸運を呼ぶとされるフクロウと「商売繁盛」の文字が目立つデザイン。花雅は、華やかに舞う桜と大波を越える船を描いた。

 黒川さんは「どんな要望でも断らないのがモットー。長く商店街を彩ってくれたらうれしい」と話す。

 大漁旗は17日深夜、総長約350メートルの魚の棚商店街のアーケードに取り付けられる。商店街の振興組合や各店舗が制作したもののほか、実際に漁船で使われていた大漁旗の計約80枚が飾られ、商店街を活気づける。

お得な商品、日替わりで大売り出し 25~27日、魚の棚商店街

 魚の棚商店街(明石市本町1)の歳末大売り出しが25~27日に行われる。日替わりでお得な商品が用意されるほか、抽選会やスタンプラリーもある。

 例年12月に実施していたが、「全国豊かな海づくり大会」が開かれた昨年から11月に変更した。あえて年末の繁忙期を避けることで商店主らに余裕が生まれ、買い物客との交流を増やす狙いがあるという。

 期間中、200円購入ごとに1枚もらえる補助券を10枚集めると、最大で10万円分の商品券が当たる抽選会に参加できる。また、LINEの友達登録で参加できるスタンプラリーは、ポイントを集めると明石のりがもらえる。

 魚の棚西商店街振興組合の瀧野幹也理事長(57)は「その日の仕入れ状況によって安いものが変わる。良い商品を探しに来て」と話している。

 抽選会は午前10時~午後5時。魚の棚商店街事務所TEL078.911.9666

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