茨城県内の学校給食で異物混入が相次いでいる。4月以降に17件が発生しており、記録が残る2018年度以降で最多を更新。原因は保健所の立ち入り検査でも分からないことが多く、混入経路が特定できたのは2割に満たない。市町村の中には異物混入を防ごうと、学校給食センターなどに金属探知機を導入する動きも出ている。
■金属片・ホチキス針
県教委保健体育課は、児童生徒の生命や健康への影響が大きいとされる「危険異物」の報告数を集計。金属片や鋭利なプラスチック片、ゴキブリやハエなどの衛生害虫などが危険異物に当たる。
同課によると、異物混入は23年度、県内9市町と県立学校で計17件発生(11月9日現在)。7カ月余りで過去最多だった20年度の15件を超えた。見つかった異物は糸状の金属片やホチキスの針など。中学生が薄い金属片を口に含んだことはあったが、これまでにけが人などは確認されていないという。
異物混入の確認後、各保健所は当日に給食センターや学校に立ち入り検査。しかし、混入経路が特定されたのは全体の2割に満たない3件にとどまっている。
■金属探知機導入も
学校給食の異物混入対策を巡っては、阿見町が20年、カエルの死骸やクリップが混入した事案を契機に対策を強化。他市町村に先駆けてベルトコンベヤー型の金属探知機を導入した。その後、危険異物に該当する混入は確認されていない。23年度には他自治体からの問い合わせも複数寄せられている。
那珂市では今年5~9月、小中学校給食にばね状の金属片などが3回混入。いずれも保健所が市立学校給食センターと学校への立ち入り検査を実施したが、調理過程や食材運搬時の動線で異物が混入した形跡はなかった。機器の破損や欠損もなく、混入の原因は現在も分かっていない。
同市は9月、調理場に入る職員の衣服に異物が付着して給食に混入する可能性を減らそうと、手持ち式の金属探知機を2台導入。来年1月には調理場などに計17台のカメラを設置し、食材の流れ把握を徹底させる方針だ。
危機管理マニュアルも改定し、市教委の担当者は「異物混入の可能性を1%でも削る対策と、万が一に備えた訓練の両輪が大切」と話した。