今季から導入されたピッチクロック 有走者時の秒数短縮を検討か

今季から導入され、平均試合時間の短縮に絶大な効果を発揮したピッチクロック。「AP通信」によると、9イニングの平均試合時間は2時間40分で、昨季から24分も短縮された。そのピッチクロックについて、MLB機構の競技委員会はさらなる時間短縮を検討しているようだ。米スポーツ専門チャンネル「ESPN」のジェフ・パッサン記者によると、「有走者時の投球間隔を20秒から18秒に短縮すること」と「1試合のマウンド訪問の回数を5回から4回に減らすこと」が検討されているという。

パッサン記者は無走者時のピッチクロックが15秒で変更されない見込みであることも併せて伝えている。パッサン記者によると、今季は平均試合時間が大幅に短縮されたものの、選手たちが新ルールに適応するにつれて、徐々に試合時間が伸びていった(4月は2時間37分だったが、9月は2時間44分だった)。こうした状況を踏まえ、MLB機構は有走者時の投球間隔を短縮することによって、さらなる平均試合時間の短縮を目指しているとみられる。

移籍情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」は、ピッチクロックのさらなる時間短縮の方針について「一部の選手から反発を受ける可能性がある。怪我のリスクが高まることを懸念し、ポストシーズンではピッチクロックの調整を望む選手も多かったからだ」と指摘。パッサン記者は今回のさらなる時間短縮の方針について「選手が同様の懸念を示す可能性がある」としつつも「時間短縮の流れを止められるだけの力は持っていないかもしれない」と伝えている。

競技委員会は球団の代表が6名、選手の代表が4名、審判員の代表が1名の合計11名で構成されることが労使協定によって定められている。つまり、選手の代表が全員反対してもMLB機構側の意向が通ってしまう構造なのだ。パッサン記者が「時間短縮の流れは止められない」と指摘するのは、この競技委員会の人員構成が理由である。もしMLB機構側が選手側と十分な議論を交わすことなく、ピッチクロックの時間短縮を強行するようなことがあれば、両者の関係は再び悪化していくかもしれない。

なお、パッサン記者によると、選手側は無走者時のピッチクロック(15秒)の時間増加とセットであれば、有走者時の時間短縮にも応じる姿勢を見せているという。しかし、今のところ、無走者時の15秒を変更することは検討されていないようだ。

競技委員会は45日前に通告することで、ルール変更を実施できる。スプリング・トレーニングが2月中旬に始まることを考えると、ルール変更のタイムリミットは12月下旬あたりとなる。ただし、12月下旬のホリデーシーズンになると、球界全体の動きが少なくなるため、12月の早い段階で何らかの決定が下されることになりそうだ。

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