松本穂香主演、藤原季節共演で山本文緒最後の長編「自転しながら公転する」をドラマ化

松本穂香が主演、藤原季節が共演する3週連続SPドラマ「自転しながら公転する」(木曜午後11:59=読売テレビ制作)が、日本テレビ系で、12月14・21・28日に放送されることが分かった。

「自転しながら公転する」は、2021年に亡くなった直木賞作家・山本文緒氏が手掛けた最後の⾧編小説を原作とした、悩める30代女性が「幸せな生き方」とは何かを考える等身大のヒューマンラブストーリー。中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞受賞、2021年本屋大賞第5位など、文壇、書店や読者の一般層の双方から強い支持を得てきた物語が、満を持してのドラマ化となる。

主人公の与野都(松本)は、30歳独身、契約社員。憧れだった東京を離れ、地元・茨城に戻ってきて悶々と過ごす日々で出会ったのは、優しいけれど経済的に不安定なアルバイト店員の羽島貫一(藤原)。20代の頃のキラキラした恋愛とは違って、たくさんの「リアル」が突きつけられる中で、2人の関係は深まって、時に離れてを繰り返していく。結婚に、仕事に、親の介護に、尽きることのない都の不安。そんな彼女が迷いながらも、ひたむきに幸せを追い求めていく姿が描かれる。

都は、福祉用具レンタル会社で働く契約社員。1年前まで東京のアパレルショップで店⾧(正社員)として働いていたが、母親の介護を理由に地元・茨城に帰ってきた。貫一と出会いひかれていくが、2人の将来に不安を抱いている。

松本は、「家族であっても恋人であっても、やっぱりそれ以上は近づけない一定の距離とか、分かり合えない価値観が絶対にあると思うんですけど、そこを考えて考えて、ぐるぐる回りながらいろんな感情を抱えたからこそたどり着ける場所があるんじゃないかなと、このドラマを通して感じました。私が演じる都も、いろんな人といろんな感情をぶつけ合ったり共有したりして、最後は自分の意思で答えを見つけ出します。悩んで苦しんでつらくても、そこがゴールじゃない。物語の終わりには優しい希望を感じさせてくれるお話になっています」と作品と役柄への思いを語る。そして、「シンプルなものでいいんだな~といろんなモヤモヤを軽くしてくれるお話になっていると思いますので、ぜひ見てください」と呼び掛ける。

一方の貫一は、中卒の回転ずし店アルバイト。外見に似合わず読書家で、すぐうんちくを垂れる青年。経済的に余裕はないが、認知症の父親が施設にいて、その費用を自ら負担しているキャラクターだ。

「『自転しながら公転する』は、地球や太陽のように、自転と公転を繰り返してぐるぐる悩む主人公・都の物語です。原作や脚本を読みながら、心に刺さるセリフが多くて、簡単に読み進められませんでした」と物語に魅了されたことを伝える藤原は、「僕が演じる羽島貫一は、中卒で元ヤンのすし職人でありながら、大変な読書家という少々複雑な役です。何も考えていないように見えるけど、胸中にはしっかりとした正義感や苦悩を抱えている貫一を丁寧に演じています」と役柄と役作りについて触れる。

続けて、「都の相手役として、2人で抱き合って自転公転しながら、彼の人生をスパイラル状に駆け抜けたいと思っています。もう二度と同じ軌道に戻れないこの瞬間を楽しみたいです」と意気込みを語り、「新作をテレビで届けられるのは久しぶりです。いつも応援してくださる方々を、ずいぶんお待たせしてしまいました。すてきなドラマに出合いましたのでご期待ください。『自転しながら公転する』を全国の皆さまに届けられることを心からうれしく思います。自転公転しながら、ぐるぐる生きている誰かにとっての宝物になるような全3話を贈ります」とメッセージを寄せている。

さらに、本作品のメインキャストとして、⾧谷川慎(THE RAMPAGE)、小林涼子、野村麻純、神保悟志、鶴田真由ら豪華な出演者も合わせて発表された。⾧谷川が演じるのは、都に好意を寄せる裕福なベトナム人留学生・ニャン役。小林、野村が務めるのは、都の地元の親友。小林は小島そよか役、野村が柏崎絵里役で、ともに同い年の都からの相談に真剣に向き合って、時に優しく、時に厳しい言葉を投げかけていく。そして、神保と鶴田が演じるのは都の両親・修と桃枝。桃枝は更年期障害を患い、都と修はその介護と向き合うこととなる。

作品を手掛ける読売テレビの矢部誠人プロデューサーは、「結婚、仕事、家族…。たくさんの悩みが降り注ぐ現代。自分自身の将来やキャリアについて、先行きが見えず、不安を感じている方も多いと思います。今作の主人公・都もその1人です。恋人の貫一との未来や家族との関係に悩み…、友人に相談する中で現実を受け入れ…、でもわずかな希望にすがってまた悩む。その繰り返しです。それでも都はその一つ一つから目を背けず、懸命に自分の人生を切り開いていきます。そして、彼女にとっての『幸せ』にたどり着きます」と物語を紹介。

キャスティングについては、「都は、自然体だけど華があって、心(しん)もある。そして、豊かな表情で人をひきつける松本穂香さん。貫一は、ミステリアスな雰囲気と少年のようなキラキラした瞳のギャップが魅力的な藤原季節さん。考え得る限り、最高で最強の2人に演じていただけることに本当に感謝しています」と自信を見せる。

加えて、「山本文緒さんが旅立ってから2年。タイトルと書影にひかれ、吸い込まれるように手に取ってジャケ買いした小説を、ようやくドラマにすることができます。山本さん、この素晴らしい作品を残してくださってありがとうございました。その思いを受け継ぎ、毎話心を込めてお贈りします」と丁寧な作品作りを誓っている。

「自転しながら公転する」の担当編集者である新潮社出版部の桜井京子氏は、「山本文緒さんは本作の執筆中から登場人物のビジュアルイメージをいろいろお持ちになっていて、ドラマ化になったら誰と誰にやってもらおう、などと想像していました。何度も、早く映像化されたらいいねと話していたので、今回のドラマ化が実現して、天国でとても喜んでいると思います」と話している。

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