とまる・つどう・はたらくを通じて地域とつながる 北海道上川町の「ANSHINDOプロジェクト」

みなさん、はじめまして。絹張蝦夷丸といいます。私は2019年に地域おこし協力隊として上川町に移住し、「この先もこの町で暮らし、事業を行っていくためには、地域全体のことを考えてアクションを起こしていくことが必要だ」と、仲間たちと2021年に株式会社Earth Friends Camp(EFC)をつくりました。その後、「海のない、このまちの港」をコンセプトにした、人と人、地域と人を繋ぎ、暮らしを共に創るための施設「交流&コワーキングスペースPORTO」を拠点に、まちづくり事業に取り組んでいます。

今回は私たちが住む上川町と、上川町で行っている「ANSHINDOプロジェクト」についてご紹介します。

「北の山岳リゾート」を目指す観光のまち上川町

北海道上川町は北海道のほぼ中央に位置し、登山やスキーが楽しめる「大雪山国立公園」や、北海道有数の温泉街「層雲峡温泉」もある観光のまちです。その他にも「大雪 森のガーデン」という観光庭園や、名物の「上川ラーメン」、「上川大雪酒造」という酒蔵など、まちには魅力的なコンテンツがたくさんあります。

そして、人口の約9割が暮らしている市街地には、生活に関わるお店、銀行、郵便局、学校、病院などがコンパクトにまとまっていて、とても暮らしやすい町です。2018年からは「KAMIKAWORK PROJECT」という地方創生事業でも注目を集め、近年は地域おこし協力隊をはじめとした若者の移住や、町内での新規開業も増えています。

そんな観光と暮らしを掛け合わせたまちのコンセプトは「北の山岳リゾート」。地元住民と観光客、そして大自然が密接に関わり融合することを目指したまちづくりが進められています。新しい取り組みを積極的に応援しようという町の空気感や、企業との連携協定が多く結ばれていることもあり、いま北海道でも注目の集まる、勢いのある町のひとつです。

暮らしと観光を繋げ、市街地の活性化を図る

そんなアツい上川町ですが、町全体で見ると、観光のエリアと暮らしのエリアが20km以上(車で約25分)と離れているため、市街地で暮らし働く人々が観光の恩恵を受けにくいという長年の課題があります。

そこで、市街中心部に“暮らしと観光をつなぎ、来訪者の目的地となるような新たな拠点施設”を整備し、市街地の活性化を図ることを目的とした「ANSHINDOプロジェクト」がスタート。市街地中心部に長年空き家となっていた元薬局の3階建てのビルをリノベーションし、「まちを照らし、繋げる灯台」をコンセプトにした複合施設を作っています。

とまる・つどう・はたらくを通じて地域とつながる「ANSHINDOプロジェクト」

ショップ、飲食店、宿泊施設、ワークスペースなどの機能が集まった複合施設として整備することで、レジャーとしての観光だけでなく、「生活観光」という地域の暮らしや日常を体験できる滞在や、ワーケーションや企業研修など、仕事と合わせた滞在ができることが特徴です。このANSHINDOをきっかけに、上川町に関わる人や市街地を訪れる観光の流れを増やすことで、層雲峡だけではない上川町全体の観光や、地域経済の発展を目指しています。

ここからは、ANSHINDOの各フロアの特徴をご紹介します!

3階:シェアオフィス

3階にはシェアオフィスを整備。企業会員や個人会員だけでなく、宿泊者も自由に使えるフリーアドレスのコワーキングルームと、貸事務所やミーティングルームとして使える個室が2部屋。ワーケーションや企業研修、ローカルでのスタートアップ支援の拠点としても活用していきます。

2階:マイクロホテル

2階は、まちの日常に溶け込み、暮らすように滞在ができる小さな宿。客室は全4部屋、最大収容人数10名を予定しており、宿泊者は3階のシェアオフィスも利用可能です。1階テナントのスタッフや、そこに訪れる地域住民との交流を通して、観光ガイドブックには載っていないローカルならではの情報と滞在体験を提供します。

1階:テナント募集中!

1階は小売と飲食店にしたいと思っていたのですが、2階と3階の改装でお金がかかりすぎてしまい、1階までは自分たちで作ることができませんでした…(もちろん物件オーナーとして水回りなどの最低限の工事はやる予定です…!)「まちを照らし繋げる灯台」になるためには絶対に1階にお店をオープンしたいんです…

1階店舗部分はかなり広いので、たとえば上川町を含む道北地域のクラフトビールが楽しめるバーや、地元のジビエ料理が食べられるお店、地元の農産物を使った加工品を作る工房兼ショップなど、様々な業種や業態に対応できます。「こんなお店やってみたいと思ってるんですけど」というアイデアベースのお問い合わせも大歓迎です!上川町で僕たちEFCと一緒にANSHINDOを作ってくださる企業や個人の方がいましたら、ぜひご連絡ください。

▼ANSHINDO テナント出店お問い合わせフォーム
https://forms.gle/YDhbAWsCwgGkNH5Q7

地域全体のことを考えてアクションを起こす「Earth Friends Camp」

この「ANSHINDOプロジェクト」は、2021年に創業したのが株式会社Earth Friends Camp(EFC)として進めています。EFCは、元北海道職員で、2018年に上川町の層雲峡温泉に「層雲峡ホステル」を開業した志水陽平と、2019年にロースタリーカフェの開業を目指して上川町の地域おこし協力隊として移住した「KINUBARI COFFEE」の私、絹張蝦夷丸で共に立ち上げました。

現在は、EFCの思いや活動に共感し移住してきたメンバーたちと共に、「海のない、このまちの港」をコンセプトにした、人と人、地域と人を繋ぎ、暮らしを共に創るための施設「交流&コワーキングスペースPORTO」を拠点に、まちづくり事業に取り組んでいます。

ここでやっていくと決めたから、その先の未来を信じてやりきる

創業3年目で、これまでは行政からの委託事業を収益の中心に経営してきたEFC。あえて言葉を選ばずに言えば「自力で稼げていない」「税金で食べさせてもらっている」状態のEFCが挑むには、今回のANSHINDOプロジェクトは規模が大きすぎる事業でした。

なので、ローカルに精通し、複合施設の立ち上げや運営経験のある方に専門家として伴走支援をしていただき、自社事業として自走できるように、事業計画や収支計画から一緒に考えてもらっています。でも、そこで見えてきたのは、自分たちの考えの甘さそのもの。

いくら観光の町といえど、人口3000人規模の町で延べ床面積が450㎡もある3階建ての古いビルをリノベーションした複合施設を作り、1階にテナントを誘致して、2階3階を直営でマイクロホテルやシェアオフィスとして運営するというのは、今の自分たちだけの実力(知識や経験、資金力も含めて)ではとても難しく、想像よりもはるかに大変で、毎日頭を抱える日々を過ごしています。本当に、めっちゃ大変です。

それでも、僕たちはここでやっていくと決めたので、やります。その理由は2つ。

“自分たちの人生をおもしろくしていく”

ひとつ目は、この町の未来に可能性を感じているから。

短い期間にたくさんお金を稼ぐには厳しい条件の町なのかもしれませんが、「これからもずっとこの町で楽しく暮らしていくためには」と考えると、すべきことややれることが見えてきます。今回の挑戦もそのひとつです。

そして、上川町には挑戦を応援してくれる空気というか、文化のようなものがあり、「オープン楽しみにしてるよ!」と応援してくれたり、「しょうがねぇな!」と言いつつ助けてくれる方々が本当にたくさんいます。

もちろん田舎ならではの難しい人間関係の色々もあるけれど、そんなのどこの町に行ったってあるものだし、上川町にはすでに応援したり助けてくれる人たちがいるんだから、この町でやっていきたい。現に上川町にはこうした魅力に引き寄せられて移住する人やお店を始める人が増えてきています。そして多くの企業との連携協定が進んでいるのも、きっとそんな上川町に可能性を感じてもらえているからだと思います。

ふたつ目は、与えられた環境で生きていくよりも、悩み苦しみながらも自分たちで仕事や暮らしを作っていく方が楽しいから。

初めからできるとわかっていることをやるより、できるかどうかわからないけどできたらめっちゃ面白そうなことに挑戦したい。それも、一人じゃなくて、共感し応援してくれる人たちと一緒に。今はまだできないかもしれないこととか、一人じゃできないかもしれないことでも、みんなと一緒ならできるかもしれない。そうやって、この町でのあらゆる挑戦を通して、自分たちの暮らしや仕事をもっとおもしろくしていきたいんです。

つまりそれは自分たちの人生をおもしろくしていくということ!人口が少ない田舎町でも、楽しくて豊かな仕事や暮らしを、自分たちで作っていけるようになりたい。

得意なことがなくても、自信がなくても、やってみたいと思うことを口に出して言える町であって欲しい。

そしてそれを応援しあって、協力しあって、実現していける町であってほしい。

この町で暮らす人たちが、これからも誇りを持って暮らしていけるように。

この町で生まれ育った子どもたちが、胸を張って「上川町出身です!」と言えるように。

ANSHINDOプロジェクトはそんな思いで、今の自分たちが出せる最大限を出し切って挑む、覚悟のプロジェクトです。

クラウドファンディングにも挑戦中!

建物の改装にかかる費用を少しでも賄うために、クラウドファンディングにも挑戦しています!期間は11月末まで。すでに100名以上の方々から150万円以上のご支援をいただいております。本当にありがとうございます!

目標金額は300万円!上川町に住んでいる方も、住んでいない方も、ご支援いただけるように様々なリターンをご用意しました。ぜひプロジェクトページをご一読いただけると嬉しいです。ANDHINDOプロジェクトのこれから、ぜひ注目していただければと思います。

▼北海道上川町に関わってほしい!まちを照らす灯台となる泊まれる複合施設をつくる!
https://camp-fire.jp/projects/view/710078?utm_campaign=cp_share_c_msg_backers_index

ローカルプレイヤー プロフィール

株式会社Earth Friends Camp / キヌバリコーヒー 絹張 蝦夷丸

1990年生まれ。北海道・オホーツク出身。
自然とローカルを軸とした企画・運営・プロデュースを行う(株)Earth Friends Camp代表取締役。プロジェクトやイベント企画などのProduce事業とOutdoor wedding事業の主担当。 人生を豊かにする”きっかけ”を提供する自家焙煎コーヒーブランド『KINUBARI COFEE』代表。
2022年11月に初の実店舗となるロースタリーカフェ『KINUBARI COFFEE ROASTERS』を北海道上川町にオープン。

Domingo ローカルトピックス

地域の魅力を地域の方々からの「生の声」によってみなさんに届ける「Domingoローカルトピックス」。地域の個性的なお店、学生の方の取り組み、みんなでつくりあげるイベントなど、その内容は地域によってさまざま。もっとローカルを身近に感じて足を運びたくなる話題を、地域からお届けします。

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