クマの市街地侵入ルート断つ対策 富山、川沿いで出没目立つ

柿の木に残されたクマの爪痕=10月、富山市

 全国でクマによる人身被害が相次ぐ中、女性(79)が襲われ死亡する被害が出た富山県ではクマが隠れて都市部に侵入するルートを断つため、河川敷の草木を取り除く対策が進む。市街地では川沿いで出没する例が目立ち、専門家は餌を求めて川伝いに移動していると分析。柿などの果樹を撤去するのと合わせ、環境省もこうした対応を全国に呼びかけている。

 16日午前、富山市上今町で男性2人がクマに襲われ、1人は脚を、1人は顔を負傷した。北西約1.8キロの同市江本の住宅敷地では約1カ月前の10月17日、女性が襲われ、死亡した。死因は首や胸を骨折したことに伴う出血性ショックだった。

 女性が襲われた現場から西約2.5キロの住宅敷地では10月23日、雄の成獣が70代男性を襲撃。男性は1カ月のけがをし、猟友会員がクマを射殺した。これら3カ所は同市を流れる熊野川の流域だ。

 目撃情報などを基に県がまとめた今年の県内の出没件数は今月16日現在で569件と昨年1年間の約2.6倍に上る。

© 一般社団法人共同通信社