メルセデスAMG、『Sクラス』にシステム出力802PSの“S63 Eパフォーマンス”を追加設定

 メルセデス・ベンツが誇る最高峰サルーン『Sクラス』に、F1テクノロジー由来の駆動システムとプラグインハイブリッド(PHEV)を組み合わせ、システム出力590kW(802PS)、最大システムトルク1430Nm以上を発揮するメルセデスAMG謹製の高性能モデル『S63 E PERFORMANCE』が登場。11月15日より発売が開始されている。

 メルセデスが蓄積してきたF1技術を採用する高性能PHEVであることを示す”E PERFORMANCE”の名を冠する同車は、全国限定30台で9月27日より先行導入された『メルセデスAMG S63 E PERFORMANCE Edition1』の正式なカタログモデルとしてラインアップに追加された。

 フロントに4.0リッターのV8ツインターボ(612PS/900Nm)と、リヤにAMG自社開発の高性能バッテリー(13.1kWh)と交流同期モーターを搭載し、AMGによるパフォーマンス志向の連続トルク可変配分4輪駆動システム“4MATIC+”を組み合わせ、同じくAMGスピードシフトMCT9のトランスミッションを介して0-100km/h加速わずか3.3秒という圧巻の性能を誇る。

 リヤアクスルに搭載した出力140kW(190PS)の交流同期モーターは、電動シフト式2速トランスミッションと電子制御式LSDとともにコンパクトなエレクトリックドライブユニット(EDU)にまとめられ、変速機内または変速機よりも下流に電気モーターを置く“P3ハイブリッド”と呼ばれるレイアウトを採用する。

 これによりモーター自体をリヤアクスルに搭載して出力を瞬時に伝達できるうえ、後輪左右へも駆動力が適正配分される。さらにスリップ量が増えると4輪のトラクションバランスを高めるべく、モーターによる駆動力は必要に応じてフロントホイールにも伝達されるなど、重量配分の適正化とも併せて極めて効率的なシステムが構築される。

 またF1技術に由来する容量13.1kWhのAMGハイパフォーマンスバッテリー(HPB)は、連続出力80kW、最高出力140kW(10秒間)を実現。電動走行による航続距離を最大化することより、速やかな充放電をおこなうことを重点に設計されているが、EV走行可能距離も37km(WLTCモード一充電走行距離)と実用的なレベルを確保した。

 その性能を支える冷却方式も、厚さわずか数mmという新しい薄型冷却モジュールを開発し、革新的な直接冷却方式を採用。非導電性の液体をベースとする高度な冷却液を循環させ、1200個のセルすべてを個別に直接冷却する方式を初採用したことで、バッテリー内の熱分布を均一に保ちつつ充放電の頻度に関係なく、つねに平均45度という最適な動作温度範囲内に維持される。

フロントに4.0リッターのV8ツインターボ(612PS/900Nm)と、リヤにAMG自社開発の高性能バッテリー(13.1kWh)と交流同期モーターを搭載
電動走行による航続距離を最大化することより、速やかな充放電を行うことを重点に設計されているが、EV走行可能距離も37km(WLTCモード一充電走行距離)と実用的なレベルを確保した

■AMGダイナミックエンジンマウントと垂直ルーバーを初採用

 これらのシステムを最大限活用すべく、4段階選択式の回生ブレーキや、7つの走行モードを備えるAMGダイナミックセレクトに加え、統合型車両運動特性制御システムの“AMGダイナミクス”も搭載。ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)の制御戦略や4駆制御、電子制御式LSDを最適化しつつ、クルマがどのように反応すべきかを判断する能力を備え、速度や横方向加速度、ステアリング舵角、ヨーレートなどを検出するセンサーを活用し、高度なフィードフォワード制御を行うことでドライバーが望む車両挙動を先取りする。

 これらの制御に加えて、車体側でも『Sクラス』で初採用となるAMGダイナミックエンジンマウントが運転条件に合わせて剛性を無限に調整し、高出力を誇るV8ツインターボの直下には補強プレートの役目を果たすアルミニウム製スタビライザー(構造体)も装着。サスペンション取り付けポイントのクロスブレースもボディシェル構造を強化し、フロントのねじり剛性を高めてフィードバックを改善。またリヤ側のアンダーボディでも、丈夫で軽量なアルミニウム製ストラットブレースに加えて、AMG高性能バッテリーを収容する軽量繊維強化プラスチック(FRP)製のケーシングも剛性部材を兼ねる盤石の構成とした。

 その脚元では、セルフレベリング機構付きマルチチャンバーエアサスペンションをベースとしたAMG RIDE CONTROL+エアサスペンションや、機械式の機構に代わり、中央の3段遊星歯車による電気機械式アクチュエーターがアンチロールバーの切り離しまで可能にするAMGアクティブ・ライド・コントロールも実装。さらに最大3度までステアする後輪操舵システムの“リヤアクスルステアリング”も備える。

 エクステリアでも『Sクラス』で初の垂直ルーバーとセントラルスターを備えたAMG専用フロントグリルを備え、ボンネット先端のマスコットもシルバークローム/ブラックのAMGエンブレムに置き換えられ、スクエアタイプ形状の4本出しエキゾーストエンドなど独自の外観に。左右ハンドル仕様が用意され、価格は3576万円(税込)となっている。

メルセデスコール:0120-190-610
メルセデス・ベンツ日本ウェブサイト:http://www.mercedes-benz.co.jp

最大3度までステアする後輪操舵システムの”リアアクスルステアリング”も備える
AMG専用ダイヤモンドステッチ入りのシートやAMGロゴ入りイルミネーテッドステップカバーなどを特別装備する

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