賃上げ税制での税収減が過去最大 22年度、優遇企業見直しも

賃上げ税制の減税額と賃上げ率の推移

 賃上げに積極的な企業に適用した税制措置による減税額が、2022年度は過去最大の5134億円に上ったことが16日、分かった。賃上げ税制が消費拡大などにつながると期待される一方、税収減という負の影響も及ぼすことが浮き彫りとなった。政府・与党内では、優遇する大企業の賃上げ率を3%から引き上げたり、高率の企業ほど減税措置を拡充したりする案が浮上している。

 賃上げ税制の拡充は、年末に向けた24年度税制改正の重要テーマ。自民党の税制調査会が16日開いた会合で、財務省が影響額を説明した。

 現行の賃上げ税制は、22年度税制改正で大幅に拡充され、継続雇用者の給与などの総額を前年度より3%以上増やした大企業と、1.5%以上増やした中小企業が対象となる。大企業の場合、4%以上の賃金増加なら増加額の最大30%を納税額から差し引くことができる。

 連合の集計によると、22年春闘の平均賃上げ率は2.07%で、前年比で0.29ポイント上昇した。税制改正の影響もあり、22年度の賃上げ税制による減税額5134億円は、21年度の2倍を超えた。

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