Day02:バーチャルスタジオ設備やシステムが続々登場。Inter BEE 2023レポート[Inter BEE 2023]

コロナ前の規模へ復活

皆さん御周知の通りInter BEEの会場は幕張メッセである。今回場内を歩いてみて改めて感じたのは「こんなに広かったか?」だ。筆者は昨年所用でInter BEEには足を運んでいなかったが、一昨年は前日から会場入りして歩き回っていた。

2年で歳を取ったから感じることなのかと思い、2021年の会場マップを確認したところその当時は4ホール分、昨年は5ホール分、今年は6ホール分と、コロナ前までの国際展示場 展示ホール1~8までは戻っていないものの、徐々に戻ってきた感じだ。また今年展示ホール1から展示ホール6までと、海浜幕張から一番遠いホールで開催されているため、かなり歩いたと言う感覚に陥るのだと思うとともに、最終日に足を運んで頂く皆さんには歩きやすい様相で来場して頂きたいと強く思うところだ。

また、会場のホールが増えたということは出展者も増えているということ。中でも「エンターテイメント/ライティング部門」や「メディア・ソリューション部門」の拡充は目を引くところだ。そして来場者が一息入れられるスペースも増え、ロケ弁ラウンジなどのエリアも拡充されているので忙しく歩き回るよりも、ゆっくりじっくり巡り楽しみながら必要な情報を入手して頂きたいと思う。

増えたバーチャルプロダクションの展示

やはり見回っていると目につくのはバーチャルのスタジオ設備やシステム、それを一括して提供できるバーチャルプロダクションだ。クロマキーを使った中小規模ものから、高精細LEDを背景にした放送レベルや映画の撮影などに耐えられるようなものまでより取り見取りだ。

そんな中でソニーでは深い黒の映像表現と低反射性能を実現した「Crystal LED VERONA」を国内初展示。デジタルシネマカメラ「VENICE 2」を使用した「Virtual Production Tool Set(バーチャルプロダクションツールセット)」を展示して、より高精細ということで一線を画している。もちろん昨日紹介した朋栄の「インカメラVFX」や、レスターコミュニケーションズに池上通信機などが高精細LEDを使用したバーチャルプロダクションの展示も行っている。

ソニーマーケティング(小間番号 6116)
ソニーマーケティング(小間番号 6116)
池上通信機(小間番号 4208)

バーチャルスタジオは規模や予算に応じて選べる時代へ

クロマキーを使用した中小規模のバーチャルスタジオとしては、三友が展示する「Pixotope」をはじめ、スパイスやToo等が展示を行っている。そしてBlackmagic Designでもこれぞ小規模と言う感じで展示を行っていて、本当に大中小と規模や予算、用途により見比べ実感することができようになっており、今後のバーチャルスタジオなどの新設などのための情報収集は十分にできるはずだ。ぜひともご興味がある方は足を運んで頂きたい。

三友(小間番号 6402)
ブラックマジックデザイン(小間番号 6407)

配信等でチャンネルを埋めたい時に重宝されるのがスポーツ中継だろう。DAZN等のスポーツ配信チャンネルも今後増えるであろうことを考えると、やはりスポーツ中継に特化したシステムやそれに付随したものなどにも興味が沸く。その一端を満足させてくれるであろうブースがデジキャスのブースだ。デジキャスではスポーツ中継システム全般が展示されており、未だ増え続けるスポーツ番組制作の一助になるだろう。

デジキャス合同会社(小間番号 6403)
デジキャス(小間番号 6403)

また中継のシステムでは無いが、サッカーの中継などでも同じようなシステムが使用されているエルザ ジャパンの「4D Free View(360°自由視点システム)」の展示や、昨今話題のVAR用のシステムを展示しているネットギアジャパンなどのブースも興味をそそられるところだ。

エルザ ジャパン(小間番号 3101)
ネットギアジャパン(小間番号 2303)

さらに進化するライティング機材

やはり撮影に切っても切り離せないのが照明だ。上記でも書いたように「ライティング部門」の拡充はやはり目を引く。特にカメラでもそうだが、ビデオとスチルの垣根がほぼ取り払われてきた現在、ライティングでもそれが見て取れるようになっている。これまで映像制作で使われていた照明機材がLEDに代わり、スチルの世界でもフラッシュだけでなく定常光も多用して撮影が行われるようになっている。

しかしフラッシュの良いところと定常光の良いところを双方使いたいと思うと、双方の機材を用意しなければならなかったわけだが、ロトライトが提供する照明は定常光とフラッシュの二役をこなしてくれる。特にフラッシュは1/8,000秒のハイスピードシンクロで同調してくれるので、例えばスチルのカメラをハイスピードカメラとして使うような用途でも対応できてしまう。このようにカメラだけでなく照明の機材も確実に進化を遂げており、実機に触れ詳しい説明を受けることができるのがInter BEEの楽しさでもあるだろう。

ロトライト(小間番号 3417)

モニターメーカー、ワークステーションメーカー、BGM・効果音提供サービスをチェック

筆者のメインの仕事はビデオの編集であるが、それに直結するものも紹介しておきたい。

先ずは筆者も使用しているモニターメーカーのEIZOブースだ。普段使用していても、なかなかEIZOの製品を並べて比べる機会などは無いだろう。そんな時にInter BEEなどの展示会があると助かるのは事実だ。今回EIZOブースで注目したのはカラーマネジメントモニターではないがウルトラワイドの曲面モニターだ。長時間画面を見続ける仕事をしていると大画面の曲面モニターのありがたさが身に染みる。筆者も実機を目にすることができて、改めてその良さを感じている。

EIZO(小間番号 4512)

次に編集用のハイスペックマシンを提供してくれるマウスコンピューターだ。今回展示されていたマシンは8Kの編集まで対応できるDAIVの最高峰ワークステーションだ。細かなスペックは記載しないが、筐体の中が見えるのでNVIDIA RTX6000 Ada世代のグラフィックボードを実際に目にする数少ないチャンスがここにはある。

マウスコンピューター(小間番号 2503)

そして最後に昨日も少し書いたが、著作権フリーのBGMや効果音などを提供するサービスを展開しているNash Music Libraryだ。Nash Music Libraryで提供されるサービスは使用形態や使用楽曲などの数によって様々なプランが用意されている。また音源の検索は特に面白く、効果音などを探すときに「オノマトペ」で検索できることも特質の一つだ。

Nash Music Library(小間番号 2602)

駆け足で書いてきたが、まだまだ筆者の知識不足で紹介できていないブースや企業などがたくさんあるので、Inter BEE2023最終日となる金曜日にぜひ足を運んで頂き、ご自身目的に合わせ体感し実感して頂きたいと思う。

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