森保一監督、快勝導くアグレッシブな姿勢を評価! 新戦力への評価やベンチ外の冨安に言及

新戦力への評価やベンチ外の冨安に言及した森保監督[写真:Getty Images]

日本代表の森保一監督がミャンマー代表戦を振り返った。

日本代表は16日、パナソニックスタジアム吹田で行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選でミャンマー代表と対戦し、5-0と快勝した。

FIFAランキング158位の格下をホームで迎え撃った一戦では、相手の超守備的な布陣に対して、いかに早くゴールをこじ開けられるかがキーポイントに。

そのなかで日本は11分に上田が早速先制点を奪取。その後、前半半ばにMF鎌田大地、前半ラストプレーで上田が追加点を奪取。3点リードで試合を折り返すと、後半立ち上がりには上田がハットトリックを達成。その後、試合終盤にはMF堂安律にもゴールが生まれ、5-0の快勝スタートを飾った。

同試合後、公式会見に出席した森保一監督はこれまでの準備期間に試していなかった中盤の組み合わせを含め、この試合でピッチに送り込んだ先発11名について、現状で最も勝利の可能性がある布陣であったと説明している。

「一言で言うならばベストな布陣を組んだということで、コンディション等々を踏まえて、考えた結果、そして練習で観た結果今日のメンバーを先発として送り込むことを決めました」

今日の展開に関しては、試合を通して割り切った守備的プランを選択したミャンマー相手に早い時間帯に奪った先制点が大きかったが、指揮官もその部分を高く評価している。

「点を取るのが難しいかなと思っている展開のなかで綺麗な形でもあり、こじ開けたともいえる形だったと思う。選手たちがアグレッシブにプレーしてくれたことがゴールに繋がったと思いますし、初戦で難しい戦いになるなか、相手も我々を相当研究して戦ってくるなか、時間が経てば経つほど先制点が難しい試合になることを選手たちも踏まえて、選手がアグレッシブにチャレンジしてくれたことが良かったと思います」

「まずはこれまでのミャンマーの試合を観ていた時に我々に対して4バックなのか、3バックなのか、5バックなのかというところはいろいろと分析をさせてもらったなかで、おそらく守備を固めてくる戦術で来るかなという予想はしておりました。ただその予想はもし外れたらということも含めて、直近のマカオとの試合などは非常に打ち合いのオープンな展開をしていましたし、そういう戦い方もインプットしながら、我々が引いた相手にどう圧力をかけて得点を奪うか、チームのなかでイメージを共有して準備していました」

「得点については非常に難しいなか、綺麗に回すだけでなくリズムやテンポも作らないといけないなかでチャレンジのパスであったり仕掛けであったり、よりゴールに向かっていくプレーをしていこうという部分で選手たちは得点に繋げてくれたと思います。ハーフタイムに選手たちに伝えたことは、3-0で折り返すことはできましたが、次の1点を我々が取りに行くというアグレッシブな姿勢を忘れないようにと選手たちを送り出して、選手たちはまたチャレンジしてくれました」

「ミャンマーと戦うにあたって、ミャンマーだけでなくどの試合も難しくなるなかで、我々が何をできるかということを、しっかりチャレンジしていこうと。相手がどこであろうと我々がどこを志しているかをしっかりとプレーに表現していこうと。選手たちは相手に合わせることなく、自分たちのチャレンジをしてくれたことが良かったと思います。当たり前のことを当たり前にしている中で、選手たちが凡事徹底をしてくれたことはチームとしてまた続けていければなと思います」

この試合ではMF佐野海舟、GK前川黛也の2選手がA代表デビューを飾ったほか、DF渡辺剛、FW細谷真大と代表経験の少ない選手たちも途中出場で出番を与えられた。その新戦力について以下のように評価を語っている。

「まず前川のところから言いますと、これまでも招集はさせていただいたなかで、なかなか出場のチャンスを与えてあげられなかったなかでトレーニングから良いパフォーマンスを見せてくれていました。どこかでチャンスをあげられればと思っているなか、もちろん選手としてはスタートからを望んでいると思いますが、このワールドカップのアジア予選の緊張感のなかで短い時間ですけど試合に出てもらうことが、本人がこれまで見せてくれたプレーに対しての評価に繋がればいいと思っていました」

「チームとしても無失点で勝ち切りたいなかで、ただプレゼントで経験の資格を与えるつもりはなく、彼がそのまま無失点でチームに貢献してくれるかなというプレーを練習で観させてもらったことが大きかった。それから、Jリーグで優勝を目指すチームの守護神として結果を出していることはこの代表の舞台でもプレーする資格があるということ。また公式戦の経験値が本人のキャリアにとっても、さらにレベルアップしていくものですし、我々のチームの総合力を高めるためにも、彼個人にとっても我々代表チームにとっても所属チームにとってもプラスになると考えています」

「海舟に関しては、彼の良さは随所に出してくれたかなと思います。相手のボールを刈り取る力、そして連続で守備をしてボールを奪う、味方にボールを奪わせる。まずは守備の能力は発揮してくれた。プラスして攻撃の起点として守から攻への起点になれる、普段鹿島で見せてくれているプレーを代表でもしっかりと見せてくれたと思っています。攻撃の力もあると思いますが、まだまだパスのクオリティや攻撃的な部分、戦術的にというか、チームになじんでいない部分はあると思いますが、さらに個人のレベルアップという部分でも守備を磨いて、攻撃も上げて、さらに良い選手になってもらえるように、今日の試合経験が繋がっていけば、私自身も指導者として嬉しいです」

「そして細谷ですが、得点を取りたい気持ちはすごくあったと思います。ゴール前に飛び込んでクロスに入って行く、そして起点になる部分、試合の状況に合わせて自分がゴールに向かうということ、そしてチームがゴールに向かうという部分で状況を見極めてチームの攻撃に貢献してくれたと思います。できれば点を取ってさらなる自信にしてほしかったですが、今日は本人も悔しい思いで試合を終えたと思います。これを一つ経験したことで今後のレベルアップに繋げてくれればと思います。ただ、細谷はE-1出ていますよね(笑)。剛もE-1出ていますよね? 間違えていたと思ったら二人とも間違えていました(笑)。喋りながら記憶を思い出せることをほめていただければ…(笑)」

「剛に関して久々の代表で、E-1はいわば国内組だけで戦ったので、彼もオリンピック世代でE-1に出て代表キャップが付いたというところで、今回は初代表ではないですが、全体的なフル代表で言うと初と言っても過言ではない代表キャップかなと思います。ただ、我々も選手のスカウティングをしているなかで、今ヘントがベルギーリーグでトップ争いをしていてその中心選手として国内リーグ、そして欧州の戦いで試合に出続けていることを評価しています。今日の試合で見せ場がなかったと言われていましたが、守備はコンタクトも欧州で激しく厳しく戦っているからこそ落ち着いてできている。普段があるからこそのプレーを今日見せてくれたと思います。また代表での経験や刺激が彼の成長に繋がればと思います」

また、この試合でベンチ外となったDF冨安健洋の状態については、本人がプレーを望んでいたものの、メディカルスタッフの助言を受けて、最終的に監督自身の判断で休養を与えたことを明かしている。

「冨安に関しては本人はプレーしたいという強い気持ちを私にもスタッフにも伝えてくれていたなかでドクターがチェックして、そしてドクターの判断のもと、報告を頂き、私が最終的に、本人は望んでいますが、ここは休ませるべきかなということで決断をさせていただきました。アーセナルでは直近の試合でフル出場していましたが、その前で少し違和感があったという情報も我々は持っていましたし、それも踏まえて選手の疲労とコンディションの部分でのベンチ外ということで今日は判断しました」

「冨安がチームにいてくれていることは、もちろん戦力として非常に大きなものだと思いますが、この2026年W杯に向けてのアジア予選を戦うなかで既にアクシデントは起こっていますが、こういうことを乗り越えるのは総合力で勝っていくということ。今回招集させてもらったなかでも、俺がやってやるということを選手たちは思ってくれていると思います。誰が出ても誰と組んでも機能するという部分でチームとしては経験値の幅と総合力がより高まったと考えています」

「これからのことについても、疲労のことをだいぶ皆さんポイントとして出されていますが、チームのためにと選手のためにということはこれまでも常に考えていて、選手の置かれている状況を考えて対応させていただいています。選手のキャリアがより輝くようにサポートをするのも我々の役目。充実した所属チームでのプレーをすることが、チームにも選手にも我々にも有益だと思う。しっかり見極めながらこれからも招集、起用をしていきたいと思います」

なお、21日にサウジアラビアの地で開催される次節のシリア戦に関して現状ではテレビ放送、配信の可能性が絶望的となっている。森保監督は「非常に残念」と自身の率直な思いを語りつつ、チームとしては様々な形で応援してくれるファンに向けてしっかりとした戦いを見せたいとしている。

「個人的な思いで言わせていただきますと非常に残念な思いです。しかし、これも現実しかないと思っています。いろんな方が協会の皆さん、メディアの皆さんが、日本代表の試合を日本国内で放送していただくことを最大限努力していただいていると思うので、まだまだ最後まで頑張っていると思いますし、テレビ放映がなくても選手が頑張っている姿を想像していただいて、応援していただければなと思います」

「シリア戦、厳しい戦いになると思いますが、テレビ放映があれば応援していただく、あるいはいろんな媒体を通して応援してくださっているサポーターの皆さんに選手たちの戦いをより多くの方に伝えていただければありがたいと思っています」

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