25人中1人に寿命短縮に関連する遺伝子型あり

アムジェンの子会社deCODE genetics(デコード・ジェネティクス)の研究チームは、アイスランドの人々から検出された治療適応可能な遺伝子型と寿命との関連性に関する研究結果を発表しました。この研究結果は、アイスランド政府が精密医療(プレシジョンメディシン)に国を挙げて取り組むことを発表する動機の1つになりました。精密医療を国民に提供するには、国民のゲノミクス、転写(トランスクリプトミクス)、プロテオミクスに関する大量のデータが必要ですが、アイスランドでは前例のない膨大な量のデータを保有しているため、現在この取り組みに非常に適しています。

レイキャビク(アイスランド), 2023年11月17日 /PRNewswire/ -- ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に22日に発表された本研究は、予防法や治療法が確立されている疾患のリスクを高める遺伝子型に焦点を当てています。こうした遺伝子型は、治療適応可能な遺伝子型と呼ばれています。研究チームは、全ゲノムシーケンスが完了しているアイスランド人5万8000人の集団ベースのデータセットを使用し、治療適応可能な遺伝子型を持つ個人の割合を評価しました。

Kari Stefansson, Patrick Sulem and Brynjar Örn Jensson scientists at deCODE genetics and authors on the paper

研究チームは、米臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)の指針の73の治療適応可能な遺伝子リストを活用し、アイスランド人の4%がこうした遺伝子の1つ以上に治療適応可能な遺伝子型を持っていることを突き止めました。こうした遺伝子型によって引き起こされる疾患には、心血管疾患、がん、代謝性疾患などがあります。

本研究は、治療適応可能な遺伝子型とその保因者の寿命との関係を評価しました。最も影響が大きかったのは、がんを誘発する遺伝子型の保因者で、保因者でない人に比べ生存期間の中央値は3年短かくなっていました。乳がん、卵巣がん、膵臓がんの素因となるBRCA2の病原性変異は寿命を7年縮め、高コレステロールと心血管疾患の原因となるLDLR変異体は寿命を6年縮めていました。論文の著者でdeCODE genetics研究者のPatrick Sulem氏は「今回の結果は、いずれも重篤な疾患を引き起こすと予測されていて、われわれの研究でも同定された、治療適応可能な遺伝子型が、寿命に劇的な影響を及ぼす可能性があることを示唆しています」と述べています。

本研究結果は、特定の治療適応可能な遺伝子型の保有者は、そうした遺伝子型に起因する病気で死亡する可能性が高いことが示されました。BRCA2に病原性変異体のある人は、乳がん、卵巣がん、膵臓がんの死亡リスクが7倍高くなります。

さらに、この変異体を持っていない人に比べて、前立腺がんになる確率は3.5倍、前立腺がんで死亡する確率は7倍でした。

研究チームは、25人に1人が治療適応可能な遺伝子型を有し、平均寿命が短いことを突き止めました。論文の著者でdeCODE geneticsのKari Stefansson最高経営責任者(CEO)は「参加者の治療適応可能な遺伝子型を同定し開示すれば、臨床意思決定の指針となり、結果的に患者転帰が改善されるかもしれません。従って、こうした知見は、個人および社会全体の疾病負担を軽減する大きな可能性を秘めているのです」と述べました。

アイスランドのレイキャビクを拠点とするdeCODEは、ヒトゲノムの解析と理解のグローバルリーダーです。deCODEは、独自の専門知識と人的資源を活用し、数十の一般的疾患の遺伝的危険因子を発見してきました。疾患の遺伝的特徴を理解する目的は、その情報を使って新たな疾患の診断、治療、予防法を生み出すことです。deCODEはアムジェン(NASDAQ:AMGN)の完全子会社です。

本論文の著者は、Kari Stefansson、Patrick Sulem、Brynjar O Jenssonの3氏です。

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