猫、コアラ、ハリモグラ…多くの哺乳類は「光る」!?豪州研究グループが驚きの発見

紫外線を受けて輝く動物たち

写真はイメージです

カモノハシなど一部の哺乳類が紫外線を受けて「光る」ことは、ここ数年の研究でわかってきています。しかし、その現象が哺乳類に一般的なことなのかどうかは、これまでわかっていませんでした。

このたび「Royal Society Open Science」誌に発表された豪州の研究によると、「蛍光」と呼ばれるこの現象が、多くの哺乳類に共通して起きていることがわかりました。その動物には、猫も含まれているのだとか。

Kenny Travouillon博士らのグループは、この光が「蛍光」であって他の現象によるものではないことを、実験で確認しました。また、何のために光るのかを推察するために、光り方や生活スタイルとの関連性も調べたのです。

「カモノハシが光るのは以前確認したので、ビルビー(オニネズミ)についても実験してみました。なんと、耳としっぽがダイアモンドみたいに明るく輝くではありませんか!」と、Travouillon博士はX(旧Twitter)でツイートしています。

人間も骨や歯が光る

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ナイトクラブでは白っぽい服の人が目立つし、ジントニックが青く輝いているのを目にすることがあるでしょう。これが「蛍光現象」です。紫外線からのエネルギーが特定の化学物質に吸収されて、「可視光線」を放つ現象のことを言います。

蛍光現象は、サソリなどの節足動物で見られることがよく知られているほか、鳥や爬虫類、両生類、魚、サンゴ、軟体動物でも見られます。

哺乳類に関しては、例えば人間の白髪や爪、骨や歯が光ることはこれまでも知られており、さらに一部のげっ歯類は紫外線を受けるとピンク色に、カモノハシは青緑色に輝くことがわかっています。

動物の標本でも光ることが判明

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研究チームは、蛍光現象がどの哺乳類に、どれほど頻繁に起こるか調べるため、博物館や野生動物公園から標本を取り寄せ、紫外線を当ててどの程度光るかを実験しました。発光がほかの現象によるものではないことを確認するため、発光スペクトルを記録する「光分光法」と呼ばれる技術を使っています。

結果、コアラ、タスマニアデビル、ハリモグラ、ミナミヘアノーズウォンバット、オニネズミ、さらには猫など、125種の哺乳類が発光することがわかりました。主に光っているのは白い毛皮や皮膚、爪で、標本の保存状態や方法が異なる場合でも結果が同じだったため、蛍光は生物学的に起こった現象と見られています。

ほぼすべての哺乳類に起こる「蛍光現象」

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あわせて、白や明るい色の毛皮は蛍光性が高く、暗い色素は低いこともわかりました。たとえばシマウマは、シマの白色部分だけが光るのです。

また、夜行性かどうかによる違いも調べています。光った総面積を、夜行性の有無や食事・運動などの生態学的特徴と比べてみたのです。その結果、夜行性の哺乳類はより強く光ることがわかりました。同時に水生種は、土の中や樹上・陸上で暮らす哺乳類よりも光り方が弱いことも判明しています。

こうした実験の結果をもとに、研究グループは「哺乳類はすべて蛍光する」と結論づけています。ただ、この蛍光特性が生物学的にどのような役割を持っているかについては、依然わかっていないとしています。

今後のさらなる研究で、わたしたち人間をはじめとする哺乳類の神秘が、さらに明らかにされるかもしれませんね。

出典:From glowing cats to wombats, fluorescent mammals are much more common than you’d think

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