産婦人科、茨城県内で13年ぶり開業 12月、つくばみらいに診療所 検診、育児支援も

県内で13年ぶりに開設される産婦人科診療所「つくばみらい遠藤レディースクリニック」=つくばみらい市富士見ケ丘

茨城県つくばみらい市に12月、新たに産婦人科診療所が開業する。県内で産婦人科の診療所が新設されるのは13年ぶりで、同市では初めて。同市は2021年の人口千人当たり出生率が県内2位の7.7%だが、市内では産科ゼロの状態が続き、妊婦らは隣接する県内のつくば、守谷市などへの通院を余儀なくされていた。

つくばみらい市の21年の出生者数は383人。同年の出生率も県平均の5.9%を大きく上回ったが、市内では産婦人科ゼロの状態が続き、隣接する守谷、つくば両市などで出産を迎える女性が多くなっていた。このため、市内では通院で妊婦に負担がかかったり、診療予約が取りにくかったりするなどの声とともに、産婦人科診療所の新設を求める声が上がっていた。

市は19年、結婚から妊娠、子育てまで切れ目のない支援を目的に「みらいこども基金」を創設。産婦人科診療所の誘致に向け、施設建設費や医療機器購入費などを補助する「産科医療施設開設補助金」を立ち上げていた。

新たに開設されるのは「つくばみらい遠藤レディースクリニック」(同市富士見ケ丘)。開設者は遠藤産婦人科医院(筑西市)などを運営する医療法人修英会(同市)。

同クリニックは婦人科に加え、乳がん検診などが受けられる乳腺外科、無痛分娩(ぶんべん)などに対応する産科麻酔科を設け、医師3人が勤務。出生前検査などが行えるほか、産後支援として授乳指導や育児相談も実施する。ベッド数は計16床。入院用個室が14室で、陣痛室が2室ある。開業日は12月1日。今後は医師数を4、5人まで増やしていく方針という。

16日開かれた内覧会では、妊婦や市関係者などが多数訪れ、施設内の設備などを見て回った。

参加したつくばみらい市の主婦、額賀優香さん(35)は「設備が充実していて驚いた」と話した。

同クリニックで院長を務める遠藤豊英さんは「地域の皆さんが安心して出産できる施設を目指し、質の高い医療を提供していきたい」と語った。

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