交流型マンション人気 20~30代ら続々入居、兵庫・西宮の新賃貸住宅 共用スペース充実、催し定期開催

ジオエント西宮北口の共用ラウンジ。定期的に入居者向けのイベントを開催している=西宮市高松町

 共用部を充実させて入居者の交流を促すマンションやアパートが注目を集めている。広々とした共用のラウンジなどを備え、1人暮らしでは手が届きにくい設備を利用できるのが特長。兵庫県西宮市の阪急西宮北口駅前でも「コミュニティ賃貸」と銘打ったマンションの入居が9月に始まり、周辺の土地人気も相まって申し込みが相次いでいる。(地道優樹)

 阪急阪神不動産(大阪市)が手がけた賃貸マンション「ジオエント西宮北口」。9月に開業した14階建て複合施設「阪急西宮ガーデンズ プラス館」の10~14階にあり、1K・1ルームを中心に112室を備える。

 ターゲットは20~30代の若い単身世帯で、月額(共益費込み)は10万8千円から。周辺相場の1.3倍となる強気の価格設定だが、11月上旬までに約6割が埋まっており、「早ければ来年1月にも満室になる勢い」と同社住宅事業企画部の高橋勇雄課長補佐(48)。駅直結の立地もあり、セカンドハウスとして契約する医師や会社経営者も多いという。

 最大の売りは充実した共用スペースだ。ラウンジにはゆったりとしたソファやテーブルが並び、キッチンも併設。テレワークなどができるブース席や、屋外の「ルーフトップラウンジ」、共用の洗濯機やロッカーなどもある。

 入居者同士の交流を促そうと、2人そろって専用のカードをかざすと無料で飲み物が出てくる「おごり自販機」も設置。ラウンジではカレー祭やボードゲーム会といったイベントを定期開催するほか、メッセージをやりとりできる入居者専用のスマートフォンアプリも導入している。

 高橋さんは「お互いに距離感を調整しながら交流できるのが特徴。仕事やプライベートの充実につながるようなコミュニティーづくりをサポートしていきたい」と話した。

■「友人増やしたい」「人脈広げたい」…

 充実した共用ラウンジを備えた集合住宅は都市部を中心に増加傾向にある。

 東京の不動産会社「グローバルエージェンツ」は「ソーシャルアパートメント」を全国で約50棟、約3200室を展開している。ワークスペースやシアタールーム、バーラウンジなどを備えた物件もあり、20~30代の独身男女を中心に9割超が埋まっている。

 同社によると、「友人を増やしたい」「ビジネスにつながる人脈を広げたい」などと出会いを求める人も多い。入居者同士で交際、結婚に発展するケースも目立つという。

 広報担当の吉田主恵さん(35)は「一緒に長い時間を過ごす中で、相手の生活感や人との接し方がよく見える。婚活の場として売り出している訳ではないが、気の合う交際相手を見つけやすいという点も若者を引きつけているのでは」と分析した。

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