スギ花粉対策、塩谷でヘリ散布実験 薬剤「低濃度で多く」が有効 東京農大が検証

スギの木に登ってサンプルを採取した現地調査。雄花が褐色になって枯れているものが確認できた=16日午前、塩谷町上寺島

 スギ花粉の飛散を防ぐ薬剤を有人ヘリでまいて効果を調べる実証実験で、東京農業大の小塩海平(こしおかいへい)教授(植物生理学)は16日、9月に薬剤をまいた栃木県塩谷町の町有林で効果を検証した。スギのサンプルを採取して調べたところ、低濃度の薬剤を多量に散布した場所で、花粉を出す雄花の枯れた割合が最も高かったことを確認した。

 実験は林野庁の補助事業。町有林約6ヘクタールを8区画に分け、有人ヘリで薬剤を濃度や量、散布する際のノズルを変えて散布した。薬剤は雄花を枯らす効果があり、主成分は食品添加物。

 この日は、6区画でスギ各1本ずつからサンプルを採取して調査。樹木に詳しい「樹護士(アーボリスト)」の4人が協力した。

 調査の結果、区画によって違いがあり、枝1本の雄花を比較すると、枯れた雄花の割合は1割未満~8割程度と差があった。

 薬剤の効果が最も大きかったのは濃度を薄め、泡状になるノズルで多く散布した区画で、約8割の雄花が枯れて褐色に変化したか、脱落していた。濃度が高く、散布量が少ない区画は、褐色率が1割未満などにとどまった。

 小塩教授は「濃い濃度で少量の散布だと、薬剤を雄花に付着させるのが難しかった」と分析。「結果を踏まえ、実用化に向けた課題を精査したい」と話した。薬剤による生態系への影響は確認されていないという。

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