秋といえば「芸術の秋」や「食欲の秋」などが思い浮かぶかもしれません。
そんな秋にピッタリなイベントが「アートでふらっと倉敷2023」です。
大原美術館を筆頭に、アートと結びつきが強い倉敷。
実はアートを楽しめるのは美観地区だけではありません。
児島、玉島、真備、水島…倉敷市全域でアートを楽しめるスポットがたくさんあります。
でも、初めての美術館やギャラリーに足を運ぶのは少し勇気がいるもの。
2023年で4回目となるこのイベントは、スイーツと謎解きを通して倉敷のアートに触れる第一歩を後押ししてくれます。
スイーツが大好きで、よく倉敷のカフェ巡りをしている筆者が、アートスポットやスイーツスポットを回ってきました。
アートでふらっと倉敷とは
アートでふらっと倉敷とは、「アートのまち倉敷」実行委員会が主催するキャンペーン。
2019年からはじまり、コロナ禍で2020年は中止になったものの2022年に再開され2023年で4回目です。
開催期間は2023年10月3日(火)から11月30日(木)。
期間中にアートを楽しめる「アートスポット」にて謎を解き、大原美術館所蔵の作品にちなんだスイーツを堪能できる「スイーツスポット」にて対象スイーツを食べると、ポイントを獲得できます。
ポイントを集めて応募すると倉敷にちなんだ豪華賞品が当たるかも。
2022年までとの大きな違いは、謎解きの要素が加えられたこと。
アートは少しハードルが高いと思っているかたでも、まずは謎解きを楽しみに行ってみるのもおすすめです。
アートスポットとスイーツスポットを巡る
対象となるアートスポットは25か所、スイーツスポットは16か所もあります。
対象となるスポットは以下のとおり。
一部有料のスポットあり。ホームページなどを確認してください。
特徴的なのは、美観地区や倉敷駅周辺地域だけでなく、児島・玉島・水島・真備と倉敷市内広範囲にスポットがある点です。
倉敷市中心部はなかなか足を運ぶ機会がない…というかたや、これを機会に倉敷中心部以外に行ってみたい、というかたもアートを楽しめます。
パンフレットを入手する
まずはパンフレットを入手しましょう。
パンフレットは、各アート施設や飲食店、倉敷市内の観光案内所、観光施設、倉敷駅などに置いてあります。
また、ホームページからPDFをダウンロードして印刷したものを利用することもできますよ。
ホテルでアート!?倉敷国際ホテル
まずはアートスポットから、さっそくめぐってみました。
一軒目のスポット、倉敷国際ホテルへ。
「ホテルに泊まらないから入りにくい」…と思っても大丈夫です。
宿泊しないけれども謎解きがしたいお客さんも大歓迎とのこと。
倉敷国際ホテルのロビーでは、インパクトのある棟方志功(むなかた しこう)の作品がお出迎え。
ホテルとアートが結びついているイメージをこれまで持っていなかったのですが、このイベントをきっかけに作品をじっくり見られました。
宿泊したり食事したりすることだけでなく、「これは何をしているようすなのだろう?」「何を表そうとした作品なのだろう?」と思考を巡らせることも、倉敷国際ホテルの楽しみかたの一つですね。
日本遺産の展示のなかにたたずむアート 倉敷物語館
続いてのスポットは、倉敷物語館。
倉敷物語館というと倉敷の日本遺産に関する展示のイメージが強いですが、こちらでも実はアートを楽しめるのです。
さっそく発見しました。
倉敷物語館でも謎を解いてみましょう。
筆者は倉敷物語館に何度も立ち寄ったことがありますが、アートを意識して見たことはありませんでした。
「こんなに繊細なタッチで描かれていたのか、優しくも明るすぎない色合いが魅力的だな」と表現技法に注目して見られました。
文字の中に飛び込む 語らい座 大原本邸
大原家とアートといえば、一番に思いつくのは大原美術館。
しかし、その向かい側にある語らい座 大原本邸でもアートを楽しめます。
こちらは有料の施設なので、入館料を払ってから入場します。
建物に入ってすぐのところに広がるのは文字のアート。
真ん中に立って写真撮影をする人も多いのだとか。
一つひとつの言葉の重みをかみしめながら作品を鑑賞すると、より迫力を感じました。
睡蓮の絵がスイーツに!?パティスリー・ピアジェ
次はスイーツスポットを訪れてみましょう。
児島下の町のPatisserie PIAGET (パティスリー・ピアジェ)。
こちらでは、クロード・モネの『睡蓮』をモチーフにしたスイーツを食べられます。
店内にも、『睡蓮』のレプリカが飾られています。
▼こちらが対象スイーツの『睡蓮』。
外観から「睡蓮」の絵画のような色合いや世界観が再現されています。
▼上から見るとこのようになっています。
それではいただいてみましょう。
口に入れると、ホワイトチョコレートの甘さとフランボワーズの酸味が重なります。
噛むとムースのふんわりとした食感だけでなく、ライスパフや土台の部分であるクランブルのサクサクとしているけれどもしっとり感、カリっとしたパールクラッカンなどさまざまな食感。
最初クランブルはビスケット生地のようなサクサクした食感を予想していたのですが、サクサクしているけれどもしっとりとした不思議な食感が新鮮でした。
実はこのクランブル、ショコラ味の白あんを固めているのだとか。
さらに、もうひとつ「睡蓮」にちなんだ工夫が。
岡山県産の蓮の葉から抽出したクレームブリュレが中に閉じ込められているのです。
見た目や味だけでなく、そこに隠された作り手のこだわりを知るとより味わい深くなるのは、アートと共通した魅力を強く感じました。
ポイントがたまったら応募しよう
ポイントがたまったら、はがきを投函して応募しましょう。
専用応募ボックスは倉敷館(観光案内所)、倉敷市観光休憩所、倉敷駅前観光案内所の3か所に設置。
応募ボックスから応募する場合は切手を貼らずに応募できます。
もちろん、63円切手を貼って郵便ポストに投函しても応募できますよ。
抽選で豪華賞品が当たるのもこのイベントの醍醐味。
当選すると倉敷川畔を臨む蔵宿土屋邸 蔵のペア宿泊券や、中野由紀子さんが作成するガラス製品、名産品の詰め合わせなどをゲットできます。
「当たりますように」と願いを込めて専用応募ボックスに投函しました。
そんなアートでふらっと倉敷ですが、どのような経緯でおこなうことになったのでしょうか?
スタンプラリーを主催する倉敷市観光課の宇多川一輝(うたがわ かずき)さんにインタビューしました。
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「アートでふらっと倉敷」主催の倉敷市観光課 宇多川さんにインタビュー
本企画を主催する倉敷観光課の宇多川一輝(うたがわ かずき)さんにインタビューをしました。
アートでふらっと倉敷をおこなった経緯
──どのような経緯で、この企画がおこなわれることになったのでしょうか。
宇多川(敬称略)──
きっかけは2019年の瀬戸内国際芸術祭でした。
倉敷市は大原美術館や倉敷市立美術館をはじめとする文化芸術施設や、芸術を学べる倉敷芸術科学大学があります。
大規模な芸術祭が瀬戸内地域でおこなわれることをきっかけに、これらの施設を生かして倉敷の芸術文化を広く知ってもらえないか?と考えました。
倉敷の文化を観光目線で楽しめる企画として、「アートでふらっと倉敷」が始まりました。
2023年から始まった新たな試み
──これまでもおこなわれてきた本イベントですが、2022年までと違う点はありますか?
宇多川──
一つ目に、「謎解き」の要素を入れたことです。
アートと聞くと、どうしてもハードルが高いなと感じてしまう人も多いのではないかと思います。
また、2023年は対象スポットが増えたことから、周遊性を促す方法はないかなと考えていました。
そこで、謎解きを通して学びの要素を取り入れることで、芸術に触れる機会がない人でも参加するきっかけとなるようにしました。
また、「アートをモチーフにしたスイーツ」を取り入れたのも2023年初めての試みです。
スイーツスポットの対象店舗のかたから、「せっかくなら作品を飾りたい」という声がありました。
でも、実物を動かすリスクを考えると実現は難しいと思っていたんです。
そこで大原美術館のかたに相談したところ、作品の複製画を飾らせていただけることになりました。
実は額も倉敷市立美術館のものを借りてセットしているんですよ。
──そのような経緯があったのですね。モチーフにする作品はお店側が選んだものなのでしょうか?
宇多川──
はい。大原美術館から貸出ができる絵のなかから選んでもらいました。
作品の見た目をスイーツに反映しているお店もあれば、作品が描かれた経緯などの逸話からインスピレーションを受けてそのコンセプトをスイーツに再現しているお店もあります。
スイーツスポットの飲食店のかたがたも非常に協力的で、「この作品が好きで、ギャラリーにも行っていて…」という意見も多く聞こえてくるほど。
スイーツを通してこのイベントを盛り上げたいと積極的にかかわってくださっています。
普段入る機会がない場所にも「ふらっと」訪れてほしい
──アートスポットを見てみると、美術館からホテルまで、バラエティに富んでいますね
宇多川──
はい!なかには無料のスポットもあるので、まずはそこから訪れてみるのもおすすめです。
普段はなかなか入る機会がないスポットも、ぜひ訪れてほしいです。
たとえば、ホテルは宿泊する機会がないとなかなか中に入ることがないもの。
宿泊しないのに入ってもいいのかな?と思うかもしれませんが、作品を見るだけでも気軽に入ってOKです。
アートでふらっと倉敷をきっかけにアートに触れるきっかけを
──それでは、このイベントをどのように楽しんでもらいたいですか?
宇多川──
アートが好きなかたやスイーツが好きなかたはもちろん、初めてアートスポットに行くかたのきっかけになるイベントだと思っています。
スポットに訪れるのが2回目、3回目のかたも、今までとは違う新しい発見を楽しんでほしいです。
また、実は対象アートスポット以外にも倉敷にはアートを楽しめる場所がたくさんあるんですよ。
スイーツスポットがある水島地域を例に上げると、水島臨海鉄道の沿線には8つのパブリックアート(緑と水のアート回遊)が楽しめるんです。
ぜひスポットを巡りながら楽しんでみてくださいね。
おわりに
倉敷市観光課の宇多川さんへの取材を通して、「アートでふらっと倉敷」をきっかけに倉敷の芸術文化を多くの人に知ってもらいたい思いが感じられました。
筆者自身、大原美術館には何度も足を運んだことがあります。
ですが、ギャラリーなどを訪れるのはどうしてもアートに詳しくないのに入っても大丈夫かと緊張してしまいます。
謎解きをはじめとする企画の対象スポットになることによって、初めての来館でもぐっと入りやすく、より親しみやすくなりました。
アートでふらっと倉敷は2023年11月30日まで実施されています。
このキャンペーンをきっかけに、倉敷で芸術の秋を楽しみたいですね。