JR宇都宮駅西側にマンション続々 好立地、LRT延伸に期待 シニアや高所得者層狙う

JR宇都宮駅西側の大通り沿いで計画されている新築分譲マンションの建設地(右)=宇都宮市内

 JR宇都宮駅西側の大通り周辺で、分譲マンションの建設が相次いでいる。同駅や東武宇都宮駅から徒歩約15分圏内の宇都宮市街地エリアが中心で、下野新聞社の調べでは10月末時点で同エリアに建設中の物件が4件確認された。施工する大手デベロッパーは県都の中心地として県庁やオフィスが並ぶ立地の良さを評価し、次世代型路面電車(LRT)の西側延伸計画にも期待する。シニア層や高所得者層をメインターゲットに据えて、分譲を進める事業者もいる。

 市によると、JR宇都宮駅西側の大通りから県庁周辺の塙田、市役所西側の一条、裁判所付近の材木町に囲まれたエリアを対象に、2018~22年の5年間に建築申請のあった6階建て以上のマンションは15件だった。それ以前の5年間(13~17年)は8件で、約2倍に増えている。

 LRTの延伸計画がある大通り沿いなどで建設中のマンションは、多くが25年上旬の完成予定。間取りは3LDKなどで、価格は3千~5千万円台が目立つ。

 19年に完成した地上31階建てのタワーマンション付近では現在、15階建ての分譲マンションが2棟建設されている。その一つ「プラウド宇都宮馬場通り」を手がける野村不動産(東京都新宿区)の担当者は、建設の狙いを「宇都宮のシンボルである二荒山神社が近くにあり、市の発展の中心地。加えてLRTが物件前を通る将来性や希少性も理由の一つ」と説明する。

 この他、大通り周辺でマンション建設中の業者は「駅の西側はもともと県庁やオフィス勤務の人に一定の需要がある」と指摘。別の業者は「立地をよく知っているシニア層や単身の高所得者層をメインターゲットにしている」と説明した。

 県不動産鑑定士協会の鈴木健司(すずきけんじ)会長によると、市が同駅西口の再開発事業を進めていることや、高層マンションなど市中心部に新築する建物の容積率制限を緩和したことも、駅西側の注目度アップにつながっている。一方で鈴木会長は、駅西側にはマンション開発に適した土地が余っていないことを指摘し、「今後は新築が急激に増えることはないのではないか」とみている。

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