【マイルCS/追い切り診断】人気GI馬が辛口「B」評価 「前走の反動か……半信半疑の状態」

Getty Images

■シュネルマイスター

【中間調整】3歳春にソングラインを退けNHKマイルCを制覇。その後GI勝ちはないものの、常にマイル戦線で上位争いを続けている実力馬だ。マイルCSは過去2年参戦し2着、5着。悲願と言える古馬マイルGI勝ちをこの秋成し遂げるべく、毎日王冠から始動。勝負どころで進路がなくなる場面があったものの、外へ大きく繰り替えてから鬼脚を繰り出し、エルトンバローズにハナ+ハナ差の3着に食い込んだあたり、底力はさすがのものがあった。

レース後は予定通り短期放牧を挟み、マイルCSへ向け10月29日の坂路14-14から調整を再開。1週前、美浦ウッドでの併せ馬は手応え劣勢ながら1勝クラスをねじ伏せて先着。全体時計はかなり速く、これが実質の最終追いと言えた。その後、今春のマイラーズC時同様、早めに栗東へ移動し現地で日曜追いをこなしている。

◆【マイルチャンピオンシップ2023予想/追い切り診断】シュネルマイスターを上回る「S」の最高評価 「V意識の絶好気配」

【最終追い切り】レース当週の追い切りは栗東CWで単走。7Fから時計を出す意欲的な内容で、直線では馬場の真ん中をブレなく進む。ラストは単走とすればまずまずの気迫から、力強く脚を伸ばした。

【見解】美浦での1週前、栗東での最終追いと伸び脚はさすが一流馬と思わせる迫力あり。しかし1週前で強い負荷を掛けて自己ベストに迫る数字を出し、最終追いも同様に栗東滞在だったマイラーズC時と比べ、6Fで2秒7も速い時計をマーク。時計が速いこと自体は悪いことではないが、前哨戦を叩いて中5週でGIに臨む一流馬と考えれば、攻めの強化よりバランスや操縦性の調整、併走馬との駆け引きなど実戦感覚のブラッシュアップに手を掛けて欲しかったところ。

前走がそこまでの仕上がりでないながら、鬼脚を繰り出し上位に食い込むレースとなったため、反動が少なからずあり、一度緩めてからの再鍛錬に取り組まざるを得なかったのではないか。地力十分、鞍上も魅力だが、こと状態面に関しては半信半疑。

総合評価「B」

◆【マイルチャンピオンシップ2023特集】予想に役立つ馬券攻略ガイド/出走予定、予想オッズetc. 「過去10年データでナミュールが浮上」

◆【マイルチャンピオンシップ2023予想/追い切り診断】ソウルラッシュに並ぶ高評価の実績馬 「実戦に直結する稽古内容」

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

© 株式会社Neo Sports