札幌駅前 エスタ閉店でどう変わった?再開発の現状は

今回のテーマは札幌駅前の再開発。北海道新幹線の札幌延伸に伴い、駅前の商業施設「エスタ」が閉店してから3カ月。JR北海道が中心となり再開発事業が進んでいる。周辺の現状はどうなっているのか。MC杉村太蔵さんと磯田アナウンサーが探る。

【エスタから複数店舗が移転した東急 改装で客数2倍】

エスタに入っていた店舗のいくつかは、向かいのさっぽろ東急百貨店に移転した。ことしオープンから50周年を迎えた東急。エスタからはビックカメラやユニクロ、ジーユーなどが移り、若年層の客も増えたという。

ユニクロとジーユーが一つのフロアに隣接している店舗は、道内初。道内企業とのコラボTシャツが人気を集めているほか、穴が開いたりほつれたりした服を修繕してくれるサービスも行う。

続いて訪れたのは、「西川ショップ ネムリウム」。寝室の環境や寝具などに合わせて快適な眠りをサポートする商品を販売している。杉村さんと磯田アナの2人も、自分にベストな高さの枕を測ってもらうなど、店内を満喫。

「百貨店とショッピングセンターの良いところを融合した店を目指す」と話すさっぽろ東急百貨店の仙石部長。来館者数は前年比200%で推移しているという。駅前のにぎわいが失われないよう、今後も努力していきたいとのこと。

【物価高が再開発に影響 西武百貨店の跡地は?】

西武百貨店があった北4西3地区は、ヨドバシホールディングスが中心となり再開発を計画している。敷地は約1万平方メートルあり、北側に商業施設、南側に170メートルのビルが建つ予定。低層階は飲食店などの商業施設、中・高層階にはオフィスと宿泊滞在施設が入る方向だ。

来年夏ごろから工事に着手し、5年後の2028年に完成予定だ。しかし、このところの物価高が計画に影響を及ぼしているという。

ヨドバシホールディングス営業部の安藤取締役部長は「事業費が上がると事業性が悪くなるので、効率の良い設計に書き直したりして物価上昇や労働環境が悪くなることを予測しながら対策を打って事業が止まらないようにしている」と話す。当初は地下6階、地上35階の予定だったが見直す可能性も。ただ、完成時期は遅らせない方針。

【資材高騰に人手不足 道内の建設業界の現状】

北海道建設業協会の栗田副会長は、ここ数年の再開発事業が建設業界の人手不足に影響していると指摘。現在の札幌駅前の再開発が当初の予定通りに進むのは困難とみている。

栗田副会長「JRもヨドバシも契約している建設会社が最初に契約した金額ではできないのは明らか。価格も合わないし工期も長くなるので最初に発表した完成年を守るのは難しい」。ただこうした状況下においても、50年以上駅前通周辺のビル開発が行われなかったことを踏まえ、再開発は今後も増える見込みだと話す。

「開発と投資を急ぎ過ぎて追いついていない状況なのではないか」と話す杉村さん。数年前の計画をゼロベースで見直し、共存共栄できるようなマチの再開発を進めるため、札幌市が交通整理を担うべきではないかと指摘した。
(2023年11月18日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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