11月27日は「県民の日」 専門家は「あいちウイークは人材流出を食い止めるきっかけに」

テレビ愛知

11月21日(火)から1週間、「あいちウイーク」がスタートします。あいちウイークとは、1872年11月27日に愛知県が誕生したのを受け、県が今年度、県の誕生日の11月27日を「県民の日」と制定。県民の日までの1週間を「あいちウィーク」と名付けました。この期間中、県内の公立の幼稚園や小中学校、高校などでは「県民の日学校ホリデー」としてどこか1日が休みになります。

大半が24日か27日を休みに設定していて、その場合、4連休や3連休になります。県民の日やあいちウイークを設けた目的は、「県民が、地域の自然、歴史、風土、文化、産業等についての理解と関心を深め、愛知への愛着及び県民としての誇りを持つ契機とする」とされています。

期間中には、動植物園や水族館など県内の100を超える公共施設が無料や割引料金で利用できるほか、県内の観光需要アップを期待し、民間事業者もさまざまな特別サービスを打ち出しています。鉄道会社は名鉄は小学生以下に限り、1日乗り放題切符が通常1600円のところを100円に。名鉄以外にもJR東海がリニア・鉄道館の入館料を割引きにするほか、ホテルでは宿泊や食事の料金が安くなったり、スーパーではセールが行われたりします。コメダ珈琲は、1杯無料券をプレゼントします。

「予定外」と驚く人も

「あいち県民の日」や「あいちウイーク」、県民の皆さんはどう過ごすのか。街の人に話を聞きました。

女性:
「コストコに行きます。平日の方が空いているのと、(子どもが)みんなお休みなので、一緒に行こうかなと思っています」

県外に遠出するという人もいます。

女性:
「ユニバーサル(スタジオ)行きますけど。平日なのでちょっと空いてるかなと思っています。県内の人は県外に行きたいかなって」

長野県に行くという女性は「子どもと星を見にキャンプをしに行きます。ちょうど小学4年生で星座の勉強をしているところなので参考になればなと思って」と言います。一方「学校休みなんですか?ちょっと予定外、びっくり」と話す人もいました。

あいちウイーク自体をそもそも認識していない

加藤義人客員教授

愛知県民40人に聞いた結果、8割近くは「県内で過ごす」という結果になりました。ただ取材した記者によると、多くの人は「普段の休みとそう変わらない過ごし方をする」と答えたということです。また「あいちウイーク自体をそもそも認識していない」という人も10人程度はいたと言います。

これについて、東海地方の地域づくりに関わっている岐阜大学の加藤義人客員教授は「非常にもったいない!」と指摘。なぜなら「この機会を県民が有効に使えば、愛知県の人材流出を食い止めるきっかけになる」からだと言います。

――今回の取り組み、どんな意義があると思いますか。

岐阜大学 加藤客員教授:
「思い出が他県の皆さんよりも、1日多くできることが意義深いのでは」

愛知県が掲げるあいちウィークの目的の中に、「地域の歴史や文化などへの理解と関心を深めること」とありますが、加藤客員教授は必ずしも学びの機会にする必要はないと話します。

加藤客員教授:
「友人同士で過ごそうという使い方をするのも、僕はありだと思います。『思い出を作る機会が増えた。愛知県のおかげだ』と思ってもらえるならそれで良いじゃないか」

――県内で過ごす人もいれば県外で過ごす人もいそうですが、これについてはどう感じますか。

加藤客員教授:
「経済効果としては県内で過ごしてもらった方が良いが、県外で過ごしたとしても経済効果には目をつむれば良いと思う。家族で楽しいことをするとか友だち同士で楽しいことをすることに充てた方が、愛知県を好きになる近道になるのでは」

また加藤教授は、あいちウィークがスタートした背景には愛知県が抱える課題があったと言います。

加藤客員教授:
「20年くらい前までは愛知県の人は地元志向が強いと思っていたが、最近は違うのではと思っている。15歳から24歳の若い人たち、大学進学や就職を迎える人がものすごく大量に東京に行っている。一度東京に行った若者たちの多くは戻ってこない。『愛知県って良いよ』というふるさと愛を、より大きく培っていく必要をすごく感じている」

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