「赤ちゃんポスト」運営者が「浜松」に施設 北海道では“自粛”求められ議論を呼んだ団体 なぜ、静岡に?

親が育てられない赤ちゃんを匿名で受け入れる、いわゆる「赤ちゃんポスト」を北海道で運営する女性が11月、浜松市内に新たな施設を開設しました。浜松の施設では「赤ちゃんポスト」は設けず、子どもの出自を確認した上で、無償で預かるとしています。なぜ、静岡に開設したのでしょうか。

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北海道当別町の自宅で「赤ちゃんポスト」を運営する公認心理士の女性。女性は約15年前からボランティアとして子どもを預かってきました。

<「赤ちゃんポスト」を運営する女性(48)>
「車ですごした親子を見かねて預かったのがスタート」

女性は市民団体「こどもSOSほっかいどう」を立ち上げ、2022年5月、自宅に「ベビーボックス」、いわゆる「赤ちゃんポスト」を設置。

熊本市の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」と同様に、望まない妊娠などで子どもを育てられない親が匿名で赤ちゃんを預けることができるものですが、医療機関と連携していないことなどから、北海道は女性に対して運営自粛を求めるなど議論を呼んできました。

<「赤ちゃんポスト」を運営する女性(48)>
「行政機関の役目も大変重要です。9割9分の方は公的機関があるから救われているんです。だけどやはり、残りの公的機関につながれない方とか本人の特性ゆえにつながってもうまく関係を築けない方が一定数いる。あくまでも(我々は)秘密を守る」

この女性が11月1日、浜松市北区に新たな施設となる「こどもSOSしずおか」を開設したことが分かりました。11月17日、訪ねてみると。

<こどもSOSしずおか 入江礼奈さん>
「こちらになります。この部屋は、いつ子どもが来てもいいように空けてあります。大きな子が来たらゆっくり過ごしてもらいますし、小さい子どもの場合は私たちの誰かが付き添う」

浜松市北区の「こどもSOSしずおか」は、看護師資格を持つ入江礼奈さん(56)の自宅です。約30年前から里親活動の経験があり、障がいのある子も含めて、12人を預かってきたという入江さん。かねてから「赤ちゃんポスト」を運営する女性の活動に賛同していて、女性からの依頼を受け「こどもSOSしずおか」の責任者を快諾しました。

ここでは「赤ちゃんポスト」を設けるのでしょうか。

<こどもSOSしずおか 入江礼奈さん>
「赤ちゃんポストとは違います。匿名で預かることはせずに、親御さんの身分証明とかも確認して、長期でお預かりするってなった場合はお子さんの保険証を確認するとか、1か月以上になるようだったら福祉課に一時保護の届けを出すことになっているので、その手続きも、とってやっていきたい」

「こどもSOSしずおか」は赤ちゃんポストとは異なり、事前にオンラインで妊婦や親、子どもからの相談を受け、事情や期間を問わず、子どもを無償で預かるといいます。

開設から約2週間が経ちますが利用した人は今のところ、いません。

浜松市子育て支援課は「現在報道で把握している限りでは、法令違反にあたることはない。支援の方法などを入江さんに確認し、必要な手続きがあれば案内していく」としています。

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