【MLB】エンゼルスのMVP輩出は直近10年で5度目 それでもポストシーズンは1度だけ

写真:2度目の満票MVPを受賞した大谷翔平

11月16日(日本時間17日)、エンゼルスからFAとなっている大谷翔平が満票でア・リーグMVPを受賞した。2度MVPを満票受賞した選手は大谷がMLB史上初。またしても歴史に新たな1ページを刻んだことになる。

エンゼルスの選手がMVPを受賞するのは直近10シーズンで5度目だ。内訳はマイク・トラウトが3度(2014、2016、2019)、大谷が2度(2021、2023)。また、トラウトは新人王を獲得した2012年から2020年まで9年連続でMVP投票5位以内に入っていた。大谷はMVPを逃した2022年も2位だったので、エンゼルスの選手が12年連続で5位以内に入っていることになる。

しかし、この規格外のスーパースターたちを擁したエンゼルスがこの12年でポストシーズンに進出できたのは2014年の1シーズンだけ。FAになった大谷の再契約の可能性も高くない。トラウトと大谷という歴史に残るデュオがチームメイトとしてポストシーズンで活躍する姿は見られないかもしれない。

大谷ほどの選手を擁していてもポストシーズンに届かなかったエンゼルスは、MLBの定石ではこのタイミングで本格的な再建期へと舵を切ってもおかしくない状況だ。しかしペリー・ミナシアンGMは、ロン・ワシントン新監督の就任会見で「今オフは積極的に動く。このチームを良くする」と来季の再建期突入を否定した。

エンゼルスには問題が山積みだ。大谷が抜けた場合、打線は必ずしもDH専任選手を補充する必要はない。トラウトやアンソニー・レンドンといった怪我がちのベテラン選手の休養ポジションとすることができるだろう。しかし当然打線の厚みは大きく見劣りすることになる。さらに大きな影響を受けるのは投手陣だ。直近3シーズンで規定投球回に到達したのは二刀流である2022年の大谷1人だけ。怪我がちの主力と経験不足の若手という打線、そしてタレントの揃っていない投手陣という問題をどう解決していくか。

チームの戦力を増強するだけで勝てるほどア・リーグ西地区は甘くない。アストロズとレンジャーズという直近でワールドシリーズを制した王者が君臨しており、主力が全盛期を迎えるマリナーズもポストシーズンを狙う力がある。ここで再建に入らないのは悪手にも思えるが、果たしてミナシアンGMとワシントン監督はこの難局を打ち破ることができるのだろうか。今オフどんな動きを見せるのかに注目したい。

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