県内老人クラブ、加入者減止まらず 働く高齢者増加で

 県内で「老人クラブ」の加入者減が止まらない。今年4月1日時点の会員数は約8万6千人と前年同期比約5千人減で、減り幅は記録のある1970年以降で最大となった。加入できる60歳以上の人口は増加傾向だが、仕事を続ける人の増加や、趣味、生きがいの多様化が要因とみられる。「老人」という言葉に抵抗を感じる人もおり、クラブは過渡期を迎えている。

 老人クラブは高齢者が自主的に集まって活動する親睦組織。会員の健康増進と在宅高齢者同士の交流、社会奉仕を柱に地域ごとに活動している。今年4月1日時点の県内の60歳以上人口は40万202人で、加入者はこのうち21.5%に当たる8万6075人だった。

 県内の60歳以上の人口は近年、増加が続いており、2021年には40万938人となった。翌年は減少に転じたが、高止まりしている。

 一方、老人クラブ会員数は03年の12万2337人をピークに減少が続く。10年代は毎年、前年比で1千人ほどが減り、20年は約2千人、21、22年は約3千人の減少だった。

 県長寿社会課の担当者は、60歳以上になっても働く人や、老人クラブ以外のサークルに居場所を見つける人の増加が要因として考えられるとした上で、「地域コミュニティーの維持のため、老人クラブの役割は重要だ」と話した。

  ●会員増のクラブも

 県内では60代の住民に加入を働き掛けて会員数を増やしたクラブもある。

 金沢市藤江の「藤江健寿会」は、仕事で活動にあまり参加できない人を「応援会員」と名付け、毎月発行の会報誌を届ける。会の現状を伝え、仕事が休みなど時間がある時に参加しやすい「入り口」を作る取り組みで、応援会員を含む会員数は直近5年間で90人から152人に増加した。

 藤井耕一会長(74)は「新しい世代と上の世代のバランスが大事。幅広い人に関心を持ってほしい」と語り、県老人クラブ連合会の山崎一郎事務局長は「藤江健寿会のような取り組みを県内全域に広げ、老人クラブを活気付けたい」と意気込んだ。

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