見附島頂部は平ら 本社調査で初確認

見附島の立体映像。レーザー撮影したデータから植生部分を取り除き、頂部の形状を明らかにした

  ●立体映像、保全に活用 

 北國新聞社が取り組む珠洲市宝立町鵜飼(うかい)の石川県天然記念物・名勝「見附島(みつけじま)」の精密撮影で、頂部の形状が17日までに初めて確認された。ドローンでレーザー撮影した画像から、島のてっぺんを覆う草木を取り除いたところ、頂部は平らな地形であることが判明した。島は5月の最大震度6強の揺れを含む一連の群発地震で崩落が進んでおり、レーザー撮影は島の姿を立体的な映像として記録に残すことで、保全に活用する。

  ●波で浸食後、地盤隆起か

 見附島の頂部はモチノキやタブノキの群落があり、これまで地形の詳細は分かっていなかった。

 地質を専門とする金大理工研究域の長谷川卓教授(地球社会基盤学系)は「海の水位が高かった最終間氷期(12万5千年前)以降、波の浸食作用でなだらかな形が作られたのではないか」と推測。長谷川教授は「島の形状の変化を継続して観測していくことが大切だ」と語った。

 間氷期は二つの氷河期の間に位置し、温暖で海水面が上昇していたとされる。見附島を構成するのは、珪(けい)藻土(そうど)が堆積した泥岩の層で、もろく、波の浸食を受けやすい。間氷期に島の頂部は海水面付近にあり、波で平たんになった後、地盤が隆起して現在の島の原型ができたとみられる。

 石川県立大の柳井清治特任教授は、見附島の北東側の珠洲市三崎町小泊~蛸島町、南側の能登町赤崎海岸で、見附島とほぼ同じ高さの階段状の海岸段丘が確認できることを挙げ「島はもともと、陸地とつながっていた可能性がある」と指摘した。

 見附島は海に浮かんだような形状から「軍艦島」とも呼ばれる。島が位置する飯田湾は海岸段丘が広がっており、柳井特任教授は、島がかつて陸地の海岸段丘の一部で、岬のような地形だったと見立て「長い年月を経て波風に削られて、島になったと考えられる」と話した。

  ●ドローンで撮影

 ドローンによる見附島のレーザー撮影は、北國新聞社が珠洲市と締結した包括連携協定に基づく取り組みとなる。建設コンサルタント「地域みらい」(中能登町)が撮影を担当し、画像処理、分析を進めた。

 画像解析で島の詳細な大きさも明らかになった。9月7日時点で高さは28.8メートル、全長は158.5メートル、最大幅は45.3メートル。植生に覆われた頂部の面積は1977.8平方メートルあった。

立体映像に見入る長谷川教授(右から2人目)と柳井特任教授(右)=北國新聞会館

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