“インボイス制度”は「日本全体の生産性を落とす“誰も得をしない制度”」脱・税理士スガワラくんが解説

山崎怜奈(れなち)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(ダレハナ)」(毎週月曜~木曜13:00~14:55)。11月14日(火)の放送では、税理士でYouTuberの“脱・税理士スガワラくん”こと菅原由一(すがわら・ゆういち)さんが登場。10月から始まった「インボイス制度」について詳しく聞きました。

(左から)パーソナリティの山崎怜奈、菅原由一さん

◆インボイス制度とは?

菅原さんは、税務調査に強い税理士として知られ、税理士歴20年以上のなかで「仕事における追徴の可能性は限りなくゼロに近い」と自負。また、YouTubeチャンネル「脱・税理士スガワラくん」は、チャンネル登録者数約34万人を誇ります。そんな菅原さんに、今回は今年10月から始まったインボイス制度について伺うことに。

会社や個人事業主は、モノやサービスを売ったときに得た消費税から、経費にかかった税額を差し引いた額を国に納めており、これを「仕入税額控除」と言いますが、10月から始まったインボイス制度では、経費の領収書にインボイス登録番号と税率(8%か10%)ごとの税額が書かれていなければ領収書として認められず、発注側はその分を負担することになります。菅原さんは「“(税率の)10%と8%の集計を間違わないようにしよう”ということで国が始めたんですけど、僕は(導入したところで)あまり変わらないような気がするんですよね」と指摘します。

また、「個人事業主は、そもそも年間の売上が1,000万円以下の方は“消費税を納めなくても良い”という特例がありました。ですが、10月から“インボイスの登録をしたら消費税を納めなさい”というルールになったんですね」と菅原さん。当然不利な話なので、現在も登録をしていない個人事業主が圧倒的に多いと言います。

◆インボイスは「誰も得をしない制度」

では、なぜ登録する人がいるのでしょうか? 菅原さんは、その理由の1つに“企業からの無言の圧力があるから”と言い、「例えば、取引する個人事業主がインボイス番号の付いていない領収書を発行すると、取引先が経費として引けないので『インボイスに登録してくれないと、納税額が増えるので困る』と言われ、しぶしぶ登録することが多い」と解説します。

ここでれなちが、「インボイス制度は、どういう人が必ずやるべきで、どういう人がやらなくても良いのか、その線引きを見分ける方法はありますか?」と質問。

これに菅原さんは、「取引先が“インボイスを登録してくれないと、取引をしないよ”というような感じの仕事関係ならば、しぶしぶ登録する。それ以外は登録しなくてもいい」と断言。とはいえ、「そうなると取引先の対応次第だから、しぶしぶ登録する人が広がっていきますよね……」と思いを巡らせるれなち。

また、「これまで手書きの領収書を“宛名なし”でもらう場合もあったかと思いますが、それも基本原則禁止になる。長い名前でも、その都度きちんと店で書いてもらわないといけない」と菅原さん。改めて「(インボイス制度によって)事務作業がものすごく増えて、むしろ日本全体の生産性をすごく落とす“誰も得をしない制度”だなと思う」と話していました。

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11月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年11月22日(水) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:山崎怜奈の誰かに話したかったこと。
放送日時:毎週月~木曜 13:00~14:55
パーソナリティ:山崎怜奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/darehana/

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