アップル出身者が開発した“バッジ型”AI端末が話題! スマホに替わる存在となるか? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。11月15日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「新たなウェアラブル端末『Ai Pin』とは?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ

◆Apple出身者によって立ち上がった新興企業「Humane」

アメリカの大手テクノロジー企業「Apple(アップル)」出身者の2人のエンジニアが設立した新興企業「Humane(ヒューメイン)」は11月9日、胸元に“バッジ”のように装着して使うウェアラブル端末「Ai Pin(エーアイ ピン)」を発表。スマートフォンのような画面がなく、声や手の動きで通話したり、写真を撮ったり、情報を検索したりできるとのことです。

吉田:塚越さん、この「Ai Pin」を開発した「Humane」は、どういった会社ですか?

塚越:「Humane」は、Appleに20年以上在籍して製品のデザインに関わった2人のエンジニアが2018年に立ち上げた会社です。このように、ビックテックから独立する人は結構多いです。

「Humane」には、人工知能チャットサービス「ChatGPT(チャットジーピーティー)」の開発元「OpenAI(オープンエーアイ)」のサム・アルトマンCEOや、「Microsoft(マイクロソフト)」が出資をしていて、これまでに2億ドル以上の資金を調達しています。

◆バッジ型のウェアラブル端末「Ai Pin」

吉田:その「Humane」が開発した「Ai Pin」。これは、どういったウェアラブル端末でしょうか?

塚越:分かりやすく説明すると、まず「Ai Pin」は、本体とマグネットで合体するバッテリーから作られています。大きさは縦横がおよそ5cm、厚さが2㎝と小さく、見た目は大きめのピンバッジのようです。サイズ感としては、ビスケットのクラッカーを2枚重ねたぐらいの大きさです。

ユージ:真正面から見ると、「Apple社のワイヤレスイヤホン『AirPods(エアーポッズ)』の新商品かな?」と思いました。(AirPodsの充電ケースを)薄くした感じですよね。

塚越:そうですね。バッテリーを入れても50g程度で、スマホに比べても小型のデバイスです。本体と(マグネットで合体する)バッテリーを服に挟んで、胸元などに装着します。バッテリーは1日持つとのことです。

カメラやマイク、スピーカーが備わっているので、本体を2回タップ、または声の指示で写真が撮れて、スマホより簡単です。画像認識機能なども搭載されているので、自動調整されて良い写真が撮れるとのことです。

さらに、スマホのような画面(ディスプレイ)はないのですが、本体をタップするとレーザーの光で手のひらに情報を映し出す機能があり、手の動きも読み取るので、人差し指と親指で手のひらに映し出された映像をスクロールしたりタップしたりもできます。

スマホは画面があって便利ですが、画面ばかり見ると疲れてしまうので、声や手のジェスチャーなど、人間に備わっているさまざまな要素を使うのが目的です。

ユージ:スマホのように、電話やネット検索をすることもできますか?

塚越:アメリカの通信大手「T-Mobile US(ティーモバイルユーエス)」の回線を利用して、電話、あるいはメールの返信やネット検索もできます。

またスピーカー内蔵で、音楽の配信サービス「TIDAL(タイダル)」を利用した音楽再生など、基本的なことはできますし、特に音声に関しては音量を自動で調節して、個人に最適化する音の仕組みもあります。スピーカーは、自分の方向に音を流せます。

またプロモーション動画によれば、手に取ったナッツを見せて「タンパク質の量を教えて」といった質問にAIが回答してくれる機能もあるようです。他にも、その場で話した言葉を外国語に翻訳させることができるなどの機能があり、スマホよりも簡単にできるという感じですね。

◆アメリカではすでに予約注文スタート

ユージ:この製品は企業の“コンセプト”ではなくて、実際に発売されるのですか?

塚越:発売されます。アメリカで11月16日から注文を受け付けて、出荷は来年2024年初めということで、まだ時間はかかりますし、日本発売はもっと先になります。価格は699ドル(約10万5,000円)。さらにネット接続のためのサブスクサービスが月額24ドル(およそ3,600円)です。少しお高めですね。

ユージ:最近のスマホ事情を考えると、ものすごく高いかというと、そうでもないですよね。「Ai Pin」について塚越さんは、どうご覧になりましたか?

塚越:成功するか分かりませんが、有名企業は初期の段階で投資しています。OpenAIやMicrosoftも出資しているので、おそらく彼らと提携して生成AIを端末経由で利用し、(デバイスを通じてAIに)いろいろな質問ができるようになると思われます。

◆スマホに替わる存在になり得るか?

ユージ:スマホが頂点にあるとしたら、それに替わる存在になるでしょうか?

塚越:私は、スマホの牙城は崩せないと思っています。これがスマホの替わりになるとは思いません。しかし、現代人は画面を見すぎているので、なるべく画面ではなく声で代替するなど、現実を大切にする傾向がある。iPadやタブレットは、スマホとパソコンの間というか、隙間を埋めるものだと思います。

「Ai Pin」もどちらかというと、スマホではなくてもできるところは「Ai Pin」を使ってサッと操作するなど、スマホも利用しつつ両方使うような感じになるかと思います。最初は富裕層の方向けですが、人気が出れば、さまざまな方が使うのかなと思います。ユージさんは、どうでしょうか?

ユージ:僕はこれ欲しいです。とりあえず、新しい物は手を出したくなるタイプなので、すごく興味ありますね。あとは、胸元にカメラが付いているので相手に不快感を与えないかというのが心配です。

塚越:「Google Glass(グーグルグラス)」というメガネ型のウェアラブル端末がありましたが、カメラ撮影できるというところがプライバシー上の問題となり販売中止になったこともありますので、そのあたりもどうするのかと思いますよね。

ユージ:満員電車で「Ai Pin」を付けていたら乗りづらいですよね。

塚越:日本の満員電車は難しいかもしれませんね。そのあたりもどうなりますかね。

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11月15日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年11月23日(木・祝) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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