新NISA【つみたて投資枠】でパフォーマンスを最大化するための戦略5つ

新NISAは、日本の投資促進を目的とした税制優遇制度です。この制度は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの主要部分で構成されています。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能です。非課税保有限度額は、全体で1,800万円となっており、そのうち成長投資枠は1,200万円までとなっています。また枠の再利用が可能であることも新NISAになって変更となった点です。

これを踏まえて「つみたて投資枠」と「成長投資枠」のそれぞれの特徴と活用法について、2回にわたって詳しく説明します。今回は「つみたて投資枠」編です。それではいってみましょう!


新NISAの「つみたて投資枠」とは?

つみたて投資枠は長期的な資産形成を目的としています。投資対象は安定的な資産形成に有効と考えられる長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託が投資対象で、主に低リスクのインデックスファンドやETFなどが対象になります。

小額から始められるので、定期的な積立投資に適していること、長期間積み立てることで複利の効果を最大化できることがポイントでしょう。長期間積み立てることを考えるのであれば分散投資を心がけ、リスク管理に留意することをお勧めします。また市場の短期的な変動に惑わされないようにしましょう。

つみたて投資枠を活かすために覚えておきたいこと

つみたて投資枠の活用法ですが、投資対象が限定されているため、自分に合った商品を選ぶことが重要です。

バランスよく安定的な投資をしたい、米国の成長に賭けたいなど個人によって様々な思惑をお持ちだと思います。ただ基本的に長期の積立投資においては「コスト」と「分散投資」を考慮することが重要です。

まずコストの重要性ですが、投資にかかるコスト(管理費用、取引手数料など)は長期にわたると大きな影響を及ぼします。たとえ小さなコスト差でも、長期間にわたって複利効果が働くことで、最終的なリターンに顕著な差が生じます。そのためコスト効率の良い商品を選択した方が投資において有利になります。

次に分散投資の重要性ですが、分散投資は特定の銘柄や市場に依存するリスクを減らします。個別の銘柄が不振でも、他の銘柄のパフォーマンスによってバランスが取れる可能性が高まります。分散投資により特定の業界や国に限定されることなく、広い範囲の市場の成長から恩恵を受けることが可能になります。

特に長期投資の場合、時間が経つにつれてこれらの要素の影響は大きくなります。適切な投資商品の選択と分散投資によって、リスクを管理しつつ、コスト効率の良い方法で資産を増やすことをまず基本として考えましょう。そこからご自身の資産運用の狙いに合わせてポートフォリオを構築してはいかがでしょうか。

ここからは、皆様の投資の参考にして頂くべく、私見も交ぜながら戦略をご紹介します。

1)オルカンに全投資

まずは、オルカン(オールカントリー)の投資信託で積み立てるのが一つの選択肢となると思います。

オルカン投資信託は、世界中の多くの国と地域の株式市場に投資するものです。つまり、投資家はこの一つの投資信託を通じて、全世界の経済に参加できるわけです。米国のウェイトが高めですが、新興国の株に注目する人が増えている今、新興国の成長の恩恵を受けられる可能性のあるオルカン投資信託は人気が高まっています。

この投資方法の大きな利点は、リスクの分散です。複数の国や地域に投資することで、一つの市場や産業の下落に強くなります。たとえある国が経済的な問題に直面しても、他の地域がカバーしてくれる可能性があります。さらに、新興国や成熟した経済圏の両方の成長を捉えることができ、特定の地域に左右されないで世界全体の成長を享受できます。
また新NISAの登場により業界内でのコスト競争が激化しているため、より低コストで投資できるようになったことも嬉しいポイントです。

個人的におすすめするオルカン投資信託はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)です。純資産額1位で、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022」で1位を獲得しており、これ1本で全世界の株式に分散投資できる投資信託です。つみたてNISAやiDeCoの対象商品となっています。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指しています。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは、MSCI社が開発した株価指数で全世界株式のベンチマークとしてメジャーな指数です。日本を含む先進国および新興国の大型株・中型株(約3,000銘柄)で構成され、世界各国市場の時価総額約85%をカバーしています。

運用コストは年率0.05775%(税込み)以内(0.1133%以内だったのが9月8日から引き下げ実施に)で、業界最低水準。長期的な資産形成において投資信託の初心者の方にもおすすめできます。

2)米経済の成長にベットする

米市場全体に投資をするという選択肢もあるでしょう。実際に新NISAで全米やS&P500の投資信託に投資される方はとても多いです。

長期的な積み立て投資で米市場に投資する主な理由としてはアメリカ経済が世界最大であり、その動向が世界市場に大きな影響を与えるためだと考えられます。アメリカの主要3指数の一つであるS&P500は、過去の金融危機を乗り越えても右肩上がりに成長を続けており、長期的には日本株と比較しても明らかに優れたパフォーマンスを示しています。

また、米国は人口増加と低い高齢化率を背景に経済成長が見込まれ、GAFAMのような世界をリードする企業が多数存在します。これらの要素は、米国市場、特にS&P500に投資することの大きな利点となります。

S&P500に投資する選択肢としては、三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS Slim米国株式(S&P500)をご紹介します。

「eMAXIS Slim」シリーズは、初心者にも取り組みやすい長期的な資産形成のための投資信託とされており非常に人気があります。この投資信託はS&P500指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果をめざす商品で、わずか100円から投資が可能です。業界最低水準の運用コストで信託報酬は年率0.09372%以内(税込)です。また、純資産総額が増えるほど、運用コストが低くなる「受益者還元型信託報酬」の仕組みを採用しています。

3)日本以外の先進国で分散投資する

もしあなたが日本株投資をしていて、先進国に投資をすることに興味があるならeMAXIS Slim先進国株式インデックスも候補になるでしょう。

日本を除く先進国株式に低コストで投資できるインデックス型投資信託です。MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)と連動する、日本を除く先進国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします。全体の約7割を米国に投資しているのが大きな特徴です。米国を主として20カ国以上の先進国に分散投資が可能で、アメリカだけに投資するのは不安だけど、日本や新興国への投資は不要という戦略の方におすすめです。信託報酬は年率0.09889%以内です。

4)新興国のウェイトを増やして高めのリターンを狙う

新興国に全力投資をするというのは、積み立ての長期投資においてはリスクを取りすぎな気がするのであまりお勧めはしませんが、オルカンで新興国の比率を高めたい、米国株に新興国を加えたいという戦略はありだと思います。その際に活用する投資信託としてeMAXIS Slim新興国株式インデックスを挙げておきましょう。

MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース)という新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします。中国や台湾、インド、韓国などが大きな比率を占めており、今のところ長期的なパフォーマンスはS&P500やオルカンに比べると見劣りしますが、新興国の今後の成長に期待ができると考えていらっしゃるのであれば、新興国の比率を高めて積み立てていくのもありかもしれません。

信託報酬は年0.15180%以内でコスト面でS&P500やオルカンと比べると高いです。ただ新興国に投資するファンドでは低水準だと言えるでしょう。

5)プロに任せてみる

自分で運用する自信はないけれど、高パフォーマンスを目指すためにプロに運用を任せたい、というのであれば、[ひふみプラス](も選択肢となるかもしれません。運用会社は、レオス・キャピタルワークスです。国内外の上場株式を投資対象とし、長期的な産業のトレンドを勘案しつつ、定性・定量の両方面から徹底的な調査・分析を行い、長期的に選別投資を行うファンドとなっています。主に国内株式を中心に運用するアクティブ型投資信託で資産配分比率(2023/08/31 現在)は国内株式が89.52%、短期金融資産が4.69%、外国株式が4.42%、先進国株式(除く日本)が1.37%、過去の実績は5年のパフォーマンスが+34.61%とのことです。コストは最大年1.078%と高くなっていますのでこれ以上のパフォーマンスが見込めると考えられれば、検討されると良いと思います。


今回は、積み立て投資枠の活用法を5つ具体的にご紹介させて頂きました。新NISAを活用するためには、ご自身がどのような資産形成をしていきたいのか、ビジョンを明確化し、ご自身がお持ちのポートフォリオや、成長投資枠をどう活用するかも併せて考えていただくことが必要です。また今回ご紹介させていただいた5つの商品は成長投資枠でも投資することが可能なので、参考にしてみてください。

この記事が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。次回は成長投資枠の活用法についてお伝えさせていただきます。お楽しみに。

※ひふみプラス参考:野村證券

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