三田市民病院の未払い残業代、さらに1.5億円 職員329人、15カ月分 労基署指導で追加支払いへ

三田市民病院=三田市けやき台3

 三田市民病院(兵庫県三田市)が医師や看護師、医療技術者への時間外手当の未払いを伊丹労働基準監督署に指摘されて約9900万円を支払った問題で、さらに1年3カ月分をさかのぼって調査した結果、新たに職員329人に対し計1億5800万円と見込む未払い賃金を支払うことが17日、分かった。市は同じく未払いの社会保障費などを含めた補正予算案1億8千万円を近く、市議会定例会に提出する。

 未払い問題は、病院職員が同労基署に通報し、昨年に判明した。担当する患者の情報を集めるために看護師らがその日の始業前に準備する「早出残業」や、終業後に電子カルテに処置内容や患者の状態を記録する時間などを労働時間としておらず、これまでに288人に対し2021年7月から22年4月までの計約9862万円を支払った。

 だが、同労基署から時効とならない20年4月から21年6月までの15カ月分も調査するよう再び指導され、病院は改めてタイムカードや電子カルテの記録などを調べ、時間外勤務手当を算定し直した。

 同病院は再発防止に向け、労働時間をリアルタイムで管理できる電子システムの導入を決めており、本年度中に稼働するという。病院は、市議会での補正予算案の成立を待って未払いとなっている対象職員の人数と金額を確定させるといい、担当者は「年度内の速やかな支払いを目指したい」としている。(橋本 薫)

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