広がる大麻汚染、若者にまん延 摘発人数、初めて「大麻>覚醒剤」に 7割超が30歳未満

「大麻は違法薬物」と書いたチラシと啓発グッズを受け取る女性=神戸市中央区布引町、JR三ノ宮駅

 兵庫県警が2022年に大麻取締法違反容疑で摘発した人数が323人となり、同年の覚醒剤取締法違反容疑の摘発者268人を上回ったことが分かった。県警が統計を確認できる1990年以降、大麻での摘発者数が覚醒剤の摘発者数を上回るのは初めて。今年も同様の傾向で、大麻事件で摘発された人数のうち、7割以上を30歳未満が占め、若者への大麻使用のまん延が浮き彫りとなった。

 県警によると、今年1~9月の覚醒剤取締法違反の摘発者168人(前年同期比2人増)に対し、大麻取締法違反での摘発は279人(同95人増)に上った。

 大麻での摘発は30歳未満が206人と約74%を占めた。さらに20歳未満に限ると、今年の薬物事件の全摘発者50人のうち、大半の48人が大麻の摘発者だった。

 全国でも若年層の大麻取締法違反容疑での摘発は増える傾向で、厚生労働省によると、22年に大麻事件で摘発された計5546人のうち、30歳未満は計3840人で約7割だった。

 県警薬物銃器対策課は背景に、交流サイト(SNS)を介して薬物に接触しやすい環境や、大麻に関する誤情報の拡散を挙げる。若い人は「身体に害はない」などといったうそをうのみにして警戒感が薄いといい、同課担当者は「大麻よりもたばこの方が体に悪いと信じる人もいる」と話す。

 県警は大麻事件の広がりを重くみて、人工知能(AI)を活用したサイバーパトロールを行い、投稿の削除や取り締まりに力を入れるとしている。(篠原拓真)

© 株式会社神戸新聞社