神戸市立婦人会館「女性のみでの使用料を減免」規定を変更へ 性別で料金変更「時代にそぐわない」

神戸市立婦人会館。女性のみを対象にした使用料の減免ルールを見直す方針が決まった=同市中央区橘通3

 神戸市は「女性のみでの使用料を減免する」という同市立婦人会館(神戸市中央区)の規定を見直すことを決めた。「会館の設立趣旨に基づいたルールだが、性別で料金を変えるのはいまの時代にそぐわない」と判断した。かつては同様の規定を取り入れる施設が全国的にも珍しくなかったが、現在は同館を含めて兵庫県内でもわずかだ。

 文部科学省によると、婦人会館や女性センターなどの施設は「女性教育施設」と総称され、主に女性の地位向上を目指して1980年代に全国の自治体で建設されたという。会議室などの貸しスペースを備え、現在は「男女共同参画センター」などの名称に変わった施設も多い。

 市によると、現在の婦人会館は73年の開館当時から、女性のみのグループが「婦人の文化と教養を高め、社会的地位の向上を図る」ことを目的に使う場合、会議室などの使用料が3割減免されてきたという。

 しかし、近年は利用者から「男性が1人混じると減免を受けられないのはなぜか」という声が上がり、内部でも「性別より活動内容に基づいて判断すべきでは」との意見が出ていた。

 2年ほど前に会館の利用ルール見直しの検討が始まり、長年会館を運営してきた同市婦人団体協議会などとも協議。来春から減免対象を「男女共同参画社会の形成を目的とした学習活動や研修」に変更する方針が決まったという。

 独立行政法人「国立女性教育会館」(埼玉県)によると、かつては全国の関連施設で同様の規定を設けるところもあったという。だが、男女共同参画センターや同様の施設がある兵庫県内の22市町に問い合わせると、そうした規定を残しているのはわずかだった。

 尼崎市女性センター・トレピエは男女共同参画問題を学習する場合に加え、女性団体の利用に貸室の料金を減免すると規定。加古川市は「市民交流ひろば」を利用する際、特定の女性団体や青少年育成団体などを無料にすると定める。

 尼崎市の担当者は「他自治体の状況から見直しも検討はしているが、いまの段階ではどちらとも言えない」と説明する。

 国立女性教育会館情報課の担当者は、女性のみの利用への減免規定を「公民館や生涯学習センターなどと同様、それぞれの設立目的に沿ったルールとみれば自然だ」と指摘する。

 その上で「99年に男女共同参画社会基本法が施行されたことで多くの施設が改称され、合わせて制度も変更されていったのではないか」と推測した。(井沢泰斗)

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