上海国際コメディーフェスティバル「漫才の回」を上演、大勢の観客が5組の「漫才」を楽しむ

11月18日(土)、中国・上海で開催中の「第9回上海国際コメディーフェスティバル2023」にて、吉本興業コメディスペシャル「漫才の回」が昼と夜の2公演、上演された。現地の観客たちは、舞台後方上部の大型モニターに表示される中国語の字幕を目で追いながら、日本の「漫才」を楽しんだ。

会場は昨日に引き続き上海市中心部にある「蘭心大戯院」。土曜日とあって開場前から多くのお笑いファンたちが集まった。北京や成都など中国各地から集まったお笑い好きの女性グループもいた。

出演したのは、ラフ次元、紅しょうが、男性ブランコ、ギャロップ、テンダラーの5組。トップバッターを務めたラフ次元は、梅村によるお金持ちのやや嫌味な行動が現地の感覚にもピタリとハマったよう。終盤のゲームコーナーでは客席から「金持ちさん」の呼びかけがあるなど、強い印象を残したようだ。

紅しょうがは、「中国の女子〜!」の呼びかけとパワフルな掛け合いで客席の心を一気につかんでいた。男性ブランコは、「M-1グランプリ2022」で強い印象を残した漫才「音符運び」を披露。「大家好! 我们是男性秋千(皆さんこんにちは。僕たちは男性ブランコです)」と中国語で挨拶し、大きな歓声を浴びていました。2回目の夜公演は余裕もできたのか、前説で中国語を多用し、会場と一体となった笑いをとっていた。

「THE SECOND」王者のギャロップは、登場時に現地の観客から「チャンピオン!」の声が。タクシー運転手の怪談をテーマにしたしゃべくり漫才を披露し、予想外の解釈でボケる林と毛利の的確なツッコミに大爆笑が起こっていた。

トリを務めたのはテンダラー。「高校生コンビです」の自己紹介に始まり、中国での公演を意識したネタを披露。ブルース・リーの「燃えよドラゴン」のテーマ曲にのって何度もボケ倒す展開などすべてがハマり、客席は大きな笑い声に包まれた。夜公演では、当初の予定になかったネタも追加。「字幕には出ません」と断りを入れたうえで、世界的に有名な映画をモチーフにしたネタで大きな笑いを取っていた。

最後は出演者全員でのゲームコーナー。ぐるぐるバットならぬ「ぐるぐる如意棒リレー」、日本のアニメキャラクターをうろ覚えで描く「イラスト対決」、中国の伝統的な遊び「毽子(羽蹴り/キックシャトル)」などでの対戦が行われ、観客も巻き込んで大いに盛り上がった。

公演終了後、「漫才の回」の出演者たちからコメントが届いた。

ラフ次元
梅村賢太郎
「袖でスタッフさんに“中国で漫才を見てもらうのは、君らが最初だから”と言われて。緊張してしまい、あんまり覚えてないです。日本の漫才の夜明け、中国初の漫才をラフ次元に任せていいのか、と。でも楽しかったです。僕はお金持ちキャラをいじられたりするので、文化の違いでどう思われるのかと思いましたが、ちゃんとお客さんから嫌われましたね(笑)」
空道太郎「すごい楽しかったです。本当にお客さんたちが勉強熱心で、お笑いの知識が入っている感じがしました。漫才は掛け合いが速いから、下手したら一回も受けないんじゃないかと思いましたが、字幕が出るより前に受けたりしていましたね。ネタは、緊張で飛んでしまいました……。字幕のことや、海外のお客さんだということを考えていたら、次、何やったっけ、と。それでもお客さんたちは違和感なく反応してくださった」
梅村賢太郎「一発目、中国で最初に漫才をやらせてもらったことは光栄です」
空道太郎「漫才史に刻んでおいてもらいたいですね。一歩目として」
梅村賢太郎「あんな飛んだ漫才あかんよ(笑)」

ギャロップ
毛利大亮「お客さんが笑おうとしてくれる感じ、事前にお笑いを勉強してきてくださっている感じがあって、感謝でしたね。手応えも感じました。違うネタも見てもらいたいなと思いました。日本のお笑いも十分受け入れられるな、と。可能性はすごく感じました。もう帰るのかと、寂しい気分です。何日かやりたかった」
林健「毎回こんなんがいいです。(登場前に歓声が上がったとき)僕は相方が親戚でも呼んだんじゃないかと。ほんまにお笑いが好きな人がたくさんおられるんだと思いましたね。ギャロップだけでライブをやったら、もしかしたら日本よりお客さんが入ったりするのかなと。劇場も想像したとおり厳かな、歴史ある雰囲気で新鮮でした」

テンダラー
浜本広晃「思っているところで笑ってもらえた。字幕に出ていないアドリブも言うてたと思うんですが、お客さんたちがついてきてくれた。皆さん陽気でありがたかったですね。客席からの“フー(Whoo!)”っていう掛け声は、あまりNGKでは出ない(笑)。アメリカ公演のときと空気が似ていましたね。お客さんがいっしょに楽しもうとしてくれて」
白川悟実「字幕テロップがあったので、考えながらやっていたところもありましたが、お客さんたちが笑ってくれたので良かったですね。ちゃんとネタで笑ってくれた。次は単独ライブで来たい(笑)。来年は30周年なので」

上海国際コメディフェスティバルは上海メディアグループ(SMG)らが主催。上海国際芸術節の期間中に行われるプロジェクトとして、昨年の第8回までに計200以上の作品、約1,300公演が実施され、累計約90万人を動員している。

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