「OBAKETSU」の老舗バケツメーカーが、創業1世紀で新ブランド立ち上げ デザイン性さらに重視、想定超える人気に 兵庫

会社を支える「オバケツ」を前に、100年の歩みを振り返る渡辺政雄社長=姫路市南八代町

 バケツ製造を専門とするメーカー「渡辺金属工業」(兵庫県姫路市南八代町)が今年、創業100周年の節目に新ブランド「TUB(タブ)」を立ち上げた。同社はインテリア雑貨としても使えるブランド「OBAKETSU(オバケツ)」で知られ、今回はデザイン性をさらに重視した新ブランドとして展開する。新商品は11月下旬から本社内のショールームで販売する。(田中宏樹)

 同社は1923(大正12)年、渡辺政雄社長(44)の曽祖父・宗太郎氏が創業。亜鉛メッキが施された鉄板を使い、さびに強く耐久性に優れたバケツ商品を作り続けてきた。

 看板ブランドのオバケツは約40年前に生産を始めた。「初めはごみ箱や物入れなど使い方はお客さま次第だった」と渡辺社長。2011年から米びつや紙おむつ用のごみ箱など用途を定めた商品を次々と販売し、業績を伸ばした。

 商品は実用性を重視し、さまざまな工夫を凝らす。米びつはふたを二重にして防虫剤を入れられる構造とし、野菜の保存容器は通気性を保つため側面に小さな穴を開けた。渡辺社長は「オバケツは使いやすさを考え、機能性を足し算していった」と振り返る。

 一方、新ブランドのタブはオバケツと一線を画し、シンプルなデザインにこだわった。渡辺社長の妻真里さん(39)が「部屋のインテリアによりこだわる人も使える商品にしたい」と開発の中心を担い、米びつや小物入れ、トレイなど約10種類の商品を展開する。

 10月下旬に姫路駅高架下の商業施設で初めて展示販売すると想定を超える人気となり、売り切れる商品が相次いだ。今後はショールームで直売するほか、来春までに在庫を増やし、ホームページで注文を受け付けたいという。

 「タブのすっきりとしたデザインは、オバケツの購入者とは別の層にも使ってもらえそう」と期待する渡辺社長。創業1世紀を迎え「将来は海外にも商品を売り出していきたい」と先を見据えた。

 ショールームは要予約。同社TEL079.297.7100

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